2021年の為替市場では、米国の双子の赤字と同国への資金流入の減少によるドル安がメインテーマとなる。バイデンの経済政策=バイデノミクスも財政赤字の拡大を通じてドル安を助長するであろう。日本側では、菅義偉政権の円高抵抗力に対する懸念などが円高を招来するとみる。ドル円相場は2021年末までに90円を目指す展開と考える。 (記事内容は2020年12月4日時点)

パンデミックを契機に基軸通貨に返り咲いたドル

梅本徹
J-MONEY論説委員
梅本 徹

2020年の為替市場においてもっとも注目すべきポイントは、新型コロナウイルスのパンデミックを契機に、ドルが基軸通貨の座に返り咲いたことである。それ以降の主要為替相場は、久方ぶりに主として米国発の要因によってドル中心に展開された。

2020年は年明け以降、堅調な米国経済などを背景に、ドルは主要通貨に対して年初来プラス2 ~ 3%の比較的堅調な展開となっていた。しかし、3月に入りコロナ禍によって米国株価が急落すると、リスク回避によってドルは一時的に急落する。ドルは3月上旬に対円で年初来マイナス5.5%と、2020年の最安値を付け、対ユーロでも同マイナス2.2%、対ポンドでは0.2%まで下落した。

その後、コロナ禍とその金融市場への影響が全世界に広がりリスク回避の動きが強まると、世界の短期市場における強烈なドル不足が顕在化し、大幅なドル高となった。有事のドル買いの復活とドルの基軸通貨への復権である。3月下旬、ポンドは底が抜けたように急落し、ドルは対ポンドで年初来14.2%まで急騰。対円では同2.8%、対ユーロで同4.5%まで上昇した。

しかし、年央以降はドルが主要通貨に対して下落する展開となった。米国の国際収支の赤字とそのファイナンス問題によるドル安時代の再来と筆者は考えている。また、欧州経済の回復やEU(欧州連合)が、総額7500億ユーロの復興基金創設で合意したこともユーロ高に寄与した。ドルは、11月下旬に対ユーロで年初来マイナス6.2 %と、2020年の最安値まで下落し、対円では同マイナス4.3%まで反落した。対ポンドでは3月のポンド急落の反動もあり、ドルは9月上旬に同マイナス2.1%の昨年の最安値まで下落した後、EUからの離脱交渉行きづまりへの懸念から9月下旬にはいったん同3.3%まで急反発。しかし、その後結局当該懸念が解消し、11月下旬には同マイナス1.9%まで反落している。このような観点からは、2020年において最大の変動をみせた通貨はポンドであったといえる(図表1)。

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