日本銀行は2020年11月10日、「地域金融強化のための特別当座預金制度(以下、特別付利)」の導入を「通常会合」という場でひっそりと決定した。特別付利の概要は、経費削減や合併を検討するなどして経営効率化に取り組み、一定の条件を満たした地方銀行(第二地方銀行を含む)に対して、日銀当座預金残高にプラス0.1%を付利するというものである。
通常会合とは、原則として毎週2回開催され、金融政策との直接的関係が希薄な事項を決定する場である。具体的には、マクロプルーデンスと呼ばれる信用秩序の維持に資するための業務のほか、日銀の経費予算の作成、あるいは国会への報告書・業務概況書の作成といった事務的なものも含まれる。したがって、通常会合が注目されることはなく、ましてやそこでの決定が報道されることは稀である。
一方、政策金利の変更、長期国債・ETF(上場投資信託)などの買い入れ方針、フォワードガイダンス(政策指針)の策定といった金融政策上の重要事項は年8回開催される「金融政策決定会合」において9名の政策委員(総裁、副総裁2名、審議委員6名)によって決められる。筆者は、今回のように金利が絡んでいる事案は、通常会合ではなく金融政策決定会合で決められるものと理解していたが、日銀は特別付利が金融政策に該当しないと判断した模様である。特別付利の導入決定に関する速報を目にした際、驚きを禁じ得なかった。
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