三井住友DSアセットマネジメント エンゲージメントと議決権行使で日本企業のESG意識の改革を促す
三井住友DSアセットマネジメントは2020年10月14日、報道関係者向けに「運用会社によるESG評価と議決権行使」と題した勉強会を都内で開催した。
三井住友DSアセットマネジメント 責任投資推進室 上席推進役 シニアアナリストの齊藤太氏がメインスピーカーとなり、ステュワードシップ責任など、中長期の持続可能性を重視する責任投資への同社の取り組みについて説明した。
勉強会の冒頭で齊藤氏は、「最終受益者となる顧客に良質な投資リターンを提供する『受託者責任』を果たすことが運用会社としての責務。だが顧客の利益を最終目標に据えながらも、責任投資を通じて日本の金融・経済市場の健全な発展・拡大に貢献する『社会的使命』も強く意識する」と、同社の理念を示した。
その上で齊藤氏は、同社がステュワードシップ責任に対応する際、投資先企業と財務状況や経営戦略などに関する一般的な対話などを行うにとどまらず、価値向上・毀損(きそん)回避を促すべく投資先企業の状況改善に貢献することを示し、投資先企業に実践的な行動を促す「エンゲージメント」にいかに取り組んでいくかの説明を具体的な手法を挙げながら行った。
例えば、同社の議決権行使の判断基準については、「業績やROE(自己資本利益率)など経営結果、不祥事の有無などを主な指標に、投資先企業の価値向上・毀損回避という最重要基準に基づき厳しく判断を行う」(齊藤氏)と、他の運用会社より取締役再任への反対率が高い実績を示した。
さらに、齊藤氏は日本企業の現状について「ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点で世界の後発にあり、それが生き残りを左右する」と述べ、ESG評価もエンゲージメントの重要なテーマになっていると説明した。同社は投資家として企業に対し、会社全体でESGに対する重要性を共有する意識改革を行うよう求める。「特に、世界的に注目されるE(環境)の分野で日本は魅力に欠ける。運用会社として当社は、ポテンシャルを発揮する企業の発掘、そして中長期の成長に繋げるエンゲージメントでの貢献を行っていきたい」(齊藤氏)。