トレードウェブは、債券やデリバティブ、株式などの電子取引プラットフォーマーとして世界の金融機関や運用会社などに流動性と取引機会を提供している。日本でも、自動取引や即時処理、データ分析などの各種サービスを通じて顧客基盤を広げている。トレードウェブ・ジャパン 代表取締役のポール・ワーゼィー氏に事業戦略を聞いた。
(取材日:2020年9月1日)

ポール・ワーゼィー氏
トレードウェブ・ジャパン
代表取締役
ポール・ワーゼィー

トレードウェブは2019年4月、米ナスダック市場に大規模案件として上場を果たすなど、米国を代表するフィンテック企業の一つとして知られる。

ワーゼィー 1996年設立のトレードウェブは、世界の銀行や証券会社、保険会社、運用会社、ヘッジファンド、ウェルスマネジメントを手がけるプライベートバンクなどに電子取引、即時処理、データ分析、商品の取引データ報告などのサービスを提供している。顧客企業は世界65カ国に2500社以上、50以上の中央銀行や政府機関も活用している。

日本では2005年に東京オフィスを開設した。

ワーゼィー 東京オフィス開設を契機に、アジア資産のカバーも開始した。アジア資産として初めてローンチしたのが日本国債で、今では国際的に重要な資産に成長した。日本では現在、大手銀行や運用会社などがローカル・グローバルを問わず30種類以上の資産を取引している。

2020年に入り、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、金融業界でも在宅勤務が広がっている。

ワーゼィー 新型コロナの感染拡大以降、トレーダーは、自宅、会社のBCP(事業持続計画)で指定されているワーキングスペース、オフィスなど様々な場所で取引を行っている。所属企業がVPN(仮想施設網)を整備済みのトレーダーであれば、自宅からテレワーク用のVPN経由で当社のプラットフォームにアクセスしていただける。

日本の銀行や運用会社でも在宅勤務のトレーダーが少なくない。

ワーゼィー 以前から、日本で中心的だった電話での取引を電子取引にシフトしようという動きはあったが、新型コロナの感染拡大で加速している。会社はコンプライアンスの観点から、電話取引の内容はすべて録音して記録に残す。しかし、在宅勤務中に個人の電話で取引する場合は録音が難しい。

当社の電子取引プラットフォームは、VPN経由はもちろん、トレーダーの自宅PCから直接アクセスすることも可能だ。会社側としては、在宅勤務中の取引内容をリアルタイムで把握することによって、「市場価格から乖離(かいり)したプライスで売買した」といった事案の発生にも迅速な対応が可能だ。個々の取引内容はすべて電子記録として残るため、非常にタイムスタンプが効いたデータをリスク管理部門などのバックオフィスと同時共有できる。

導入企業からは、「今までと同じ感覚で仕事が進められる」「多岐にわたる商品での活用も検討したい」といった反響が届いており、日本でも意識の変化が進んでいることを実感する。

電子取引プラットフォームの優位性が注目を集める環境下で、特に引き合いの多いソリューションは。

ワーゼィー お客様が事前に設定したルールに基づき自動で売買する「自動取引システム(AiEX)」への関心が急速に高まっている。日本では2年前に提供を始めたが、当初はトレーダー自身が操作する従来のやり方を変えることへの抵抗感もあり、なかなか広まらなかった。しかし、当社の電子取引プラットフォームの利便性とセキュアなシステム環境への評価が高まるにつれ、AiEXに関する問い合わせも増えている。運用業界での導入ケースが多く、2020年8月にも新規採用があった。欧州では、ETF(上場投資信託)など全体の取引の約7割がAiEX経由であることを踏まえると、日本においても拡大傾向が続くだろう。

J-MONEY読者である金融機関や機関投資家へのメッセージを。

ワーゼィー 当社の商品ラインアップの一つに円金利スワップがある。日本では2014年に取り扱いを始めたが、翌2015年に円金利スワップなど店頭デリバティブの電子取引が義務化された。当社ではお客様と緊密にコミュニケーションを図りながら、新たな規制に遵守するシステムを構築した。このトピックが一つの契機となり、日本のお客様との信頼関係は深まり、市場シェア拡大につながった。これからもシステムのバージョンアップや商品・サービスの品ぞろえを拡充し、既存のご利用者のほか、生損保やこれからIT環境を充実させる地方銀行などを含め、多くのお客様に当社を「取引場所」として選んでいただきたい。

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