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年金運用とマーケットの研究 2極化が進む米国年金資産運用──債券とオルタナティブ
米国における年金資産運用では2極化が進んでいる。
米民間企業DB年金では、歴史的な低金利にもかかわらず「債券シフト」が進む一方、カルパース(CalPERS)に代表される米地方公務員年金では、株式や債券という伝統的な投資対象からオルタナティブ投資へのシフトが顕著となっている。
【図表】米国年金のアセットアロケーションの変化
年金制度の面でも2極化が見られている。民間企業年金では確定給付年金(DB)から確定拠出年金(DC)へのシフトが急速に進んでいるのに対し、州や地方自治体、公立学校教職員など公的セクター職員を対象とした米地方公務員年金では、引き続きDB年金が圧倒的な地位を占めている。
世界金融危機発生前の時点では、米民間企業DB年金と米地方公務員年金のアセットアロケーションには大きな差異は存在していなかったが、その後は明確な乖離が見られている。
Pensions & Investments誌が毎年実施している米国年金に対する調査によると、規模で上位200の米企業DB年金では、2006年に27.4%であった債券の組入比率は2019年には49.1%とポートフォリオの約半分を占めるところまで拡大し、株式の組入比率は57.7%から30.3%へと約半減となっている。
一方、上位200の米地方公務員年金では、2006年に62.3%を占めていた株式組入比率が2019年には46.9%に、債券組入比率が25.3%から23.7%へと共に低下し、オルタナティブ投資が9.0%から25.9%へと大幅な増加を見せている。
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