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マクロ経済 米国経済は予想外に早く回復する可能性はないのか?
米雇用統計、予想に反して失業率が改善
先週公表された米国の5月雇用統計は驚くほど強い結果であった。事前予想では750万人の減少が見込まれていたにもかかわらず250万人増となり、失業率も2月の3.5%から4月に14.7%にまで急上昇して、さらに20%程度に上昇すると予想されていたが、その予想に反して13.3%に低下。各種の規制が緩和・解除されるなか、人々の移動状況や車の混雑度合いなどを日次や週次で示すいわゆるオルタナティブデータは4月を底にやや改善していたが、米国経済の現状をもっとも的確に示すと捉えられている雇用も予想以上に早く底打ちしていたことが示された。この結果、それでなくとも記録的な財政・金融政策の緩和によって高まっていた市場のセンチメントは一層楽観的となり、S&P500は年初来のマイナスを全て打ち消してプラスに転じている。
無論、こうした劇的な変化の際には統計の信頼性は低下する(今回の雇用統計における家計調査の回答率は、通常より15%ほど低い67%に止まった)。また、失業率は改善したといっても1930年代の大恐慌時以来となる記録的な高さにあり、これで米国経済が本格的な回復に転じたと受け止めるのは楽観的過ぎるとの見方は真っ当だろう。
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