日本証券アナリスト協会 「プライベートバンカー資格」を刷新。資産の運用・管理に重点を置いた新テキストも発行
日本証券アナリスト協会が2019年6月1日、2013年から実施している「プライベートバンカー(PB)資格試験制度」をリニューアルする。
受験資格要件や試験内容、初級、中級、上級の3つのカテゴリーの位置づけを見直す。企業オーナーや資産家といった金融機関の個人顧客に対するコンサルティングおよびアドバイスなど、実務で使える知識を身につけやすい内容へと刷新する。
PB教育第1企画部長の中井健二氏は、「国内の超低金利環境が常態化し、リテールにおけるコンサルティング業務の存在感が増している。そうしたなか、企業オーナーを中心とした個人顧客に対して包括的な金融サービスを提案できる、専門性の高い人材育成のための教育プログラムの必要性がより一層高まっていると考え、見直しに至った」と話す。
リニューアル後の資格カテゴリーは、「PBコーディネーター」(初級)、「プライマリーPB」(中級)、「シニアPB」(上級)の3種類。PBコーディネーターは資格更新の要件を大幅に緩和した。プライマリーPBは問題数や時間を減らすなど試験内容をコンパクトにした一方で、資産運用に関する内容の問題数を増やし、配点も高めに設定した。
シニアPBはプライマリーPBまたはCMA(日本証券アナリスト協会認定アナリスト)のいずれかの資格を保有していれば誰でも受けられるようになった。試験は択一式のコンピュータ試験を廃止し、A4・15ページの投資政策書を作成する筆記試験のみとした。
PB試験の受験のためには基本テキストとなる『プライベートバンキング(上・下巻)』があるが、プライマリーPB向けのサブテキストとして『資産運用・管理の基礎知識』を新たに作成した。
従来のサブテキストはウェルスマネジメントに関連する知識を網羅的に学べる内容だったが、証券アナリスト資格試験用のテキストでもあったため、市場部門や証券部門向けの専門的・理論的な内容も多く含まれていた。
今回の、『資産運用・管理の基礎知識』では、運用アドバイスを行う際のポイント、投資信託の仕組みやコストなど、個人顧客向けのコンサルティングに役立つトピックが拡充し、資産運用・管理に関連する知識を深められる内容が特徴だという。
中井氏は、「顧客の投資行動や資産の運用状況が、当初の目的に適っているかを判断するうえで役立つ内容を充実させた。リテール業務の経験が浅い新入社員が読んでもわかりやすく、ベテランにとってもためになるような構成を意識したので、資格取得のみならずリテール業務のレベルアップに役立ててほしい」と語った。