ユーロマネー誌の「プライベートバンキングサーベイ2021」の「日本のプライベートバンキング部門」で、三菱UFJモルガン・スタンレー証券が総合ランキング第1 位に選出された。同社のプライべートバンキング(PB)ビジネスの強みについて、取締役副社長執行役員の浜田直之氏に聞いた。
(岡本英理子)

お客様や金融機関との深い信頼関係が評価

日本のプライベートバンキング総合ランキング第1 位に選ばれました。

これからの債券投資を考える

浜田 直之氏
三菱UFJモルガン・スタンレー証券
取締役 副社長執行役員
浜田 直之氏

PB関連のアワードの中で最も権威があり著名なユーロマネーの賞で、ナンバーワンを頂いたのは率直に嬉しく思います。今回で18回目を迎えたこのアワードには、世界各国からPBビジネスに携わる数多くの金融機関が参加し、金融機関同士の投票によって順位が決まり、今回は世界50カ国のランキングが発表されました。当社にとっては初めての受賞ですが、2020年8月に合併した旧三菱UFJモルガン・スタンレーPB証券の実績と合わせると9年連続でトップに選ばれたことになります。社員にとって、これまでやってきたことへの自信になりますし、今後の進むべき道にも確信を持てるでしょう。何より、お客様にとってもご自身が選んでいる会社が1位になったことを喜んでいただけるのではないかと思います。

どのような点が評価されたと思いますか。

お客様や金融機関との信頼関係がきちんと形成されている点だと思います。旧PB証券では、1998年から20年以上、お客様の満足度にフォーカスした米国流のPBビジネスを実践してきました。PBの担当者には基本的には転勤がなく、長期にわたって同じお客様を担当します。このため、時間をかけて信頼関係を構築することで、様々なことをお話ししていただけます。そうしたプロファイリングを通して得られた情報を分析したうえでお客様の真のニーズを掘り起こし、ベストなソリューションをご提供することが私たちの務めです。

当社では社員の評価制度に収益目標や販売目標を設けていません。自分たちがお客様にとって良いソリューションを提供していれば、その対価として収益は上がってくるはずだという姿勢を徹底しています。きれいごとと言われるかも知れませんが、信じて続けることで成功してきました。

加えて、証券会社や運用会社などの金融機関は、我々にとって重要なパートナーだと考えています。様々な商品の組成やファンドの提供などに際し、高度な専門性を誇る外資系証券会社や運用会社からサポートをいただいており、日頃からそのリレーションを大切にしています。

サービスのクオリティを高めるモルガン・スタンレーとの合弁

御社のPBビジネスの強みを教えてください。

3つあると思います。まず1つ目は、基本的にアドバイザーのクオリティが高いことです。豊富な経験と高い専門性を兼ね備えたアドバイザーがお客様と長期間にわたり良好な関係性を築き上げていきます。また、当社では外部のデジタルテクノロジーの導入により、ポートフォリオ分析ツールをカスタマイズして活用し、科学的根拠に基づいたご提案にも本格的に取り組んでいます。

2つ目は、ワールドクラスのサービスです。当社は、モルガン・スタンレーとの合弁会社ですが、金融ビジネスの最先端を行く米国流のサービスは日本と比べて大きく先行しています。モルガン・スタンレーはウェルスマネジメントの分野においても世界のトップランナーであり、彼らのビジネスモデルやソリューション力、サポート体制は非常に強固であり、参考になる点が数多くあります。さらに、投資に対するアイデアも豊富で分析力にも定評があります。

よく、「米国と日本では文化や環境が違う」と言われてきましたが、現在の先進国は、いずれも低金利、低成長、低インフレになり、同質化してきています。そのため、海外で成功しているモデルを日本に持ち込む良いチャンスだと思っています。逆に日本で成功しているモデルは海外でも参考になるでしょう。そうした意味でも、ワールドクラスのサービスを取り入れられることが、我々の強みだと思っています。

3つ目は、言うまでもなく三菱UFJフィナンシャル・グループの顧客基盤やブランド力、ソリューション提供力です。

テクノロジーを体系的に活用し富裕層ビジネスの強化にフォーカス

PBビジネスのトレンドをどう見ていますか。

富裕層ビジネスと、FD(フィデューシャリー・デューティ)におけるテクノロジーの活用は、今後ますます注目されていくでしょう。当社もさらに富裕層ビジネスの強化にフォーカスしていきます。対面営業を行うのは富裕層のお客様に絞り、それ以外のお客様にはリモートサービスを提供していきます。前述のポートフォリオ分析ツールでは、様々なデータをチェックし、科学的な視点から分析を行ったうえでお客様へご提案をしています。テクノロジーを駆使した営業活動にここまで力を入れている金融機関は、ほかにあまりないと思います。

当社ではテクノロジーを「デジタルアドバイス」「デジタルマネジメント」「デジタルコミュニケーション」の3つに分けて体系的に活用しています。「デジタルアドバイス」は、ポートフォリオの分析ツールです。「デジタルマネジメント」では、デジタルツールを仕事の効率化や自身のTo-doリストなど行動管理に活用しています。「デジタルコミュニケーション」は、ウェブを活用したお客様とのコミュニケーションです。これらを体系的に実践することで、社員一人ひとりの意識や仕事の精度が高まります。一方、リモートサービスで対応するお客様には、デジタルFA(ファイナンシャルアドバイザー)という形で、ウェブ上でライフプランに沿った運用のアドバイスを行なっていきます。

Family Wealth Managerへの進化のプロセスを駆け上がる

今後の事業方針について教えてください。

「Family Wealth Manager」への4つのステップをしっかりと意識し、ソリューション力を強化し、アドバイザーとしての役割を高め、我々のサービスの成長・発展を目指します。資産運用・資産管理サービスでは、ライフプランに沿ったポートフォリオ提案をベースに、お客様との定期的なレビューを欠かすことなく行うことがとても重要です。ラップ口座や投資助言などフィーベースのサービスへの取組みも強化し、「Investment Manager」としての役割を確立していきます。運用以外の金融サービスの提供は、「Wealth Manager」としての役割です。資産・事業承継、遺言信託やM&A(合併・買収)、IPO(新規株式公開)のサポートなど、今後ますます富裕層からのご要望が高まる分野です。米国で企業オーナーの需要が高い、自社株を活用したレンディングサービスなども今後日本において浸透していくはずです。

そして最後はファミリーオフィスの役割です。ファミリーガバナンスやご子女の教育など、金融以外の分野までサポートできるような体制を構築していきたいと考えます。それが、我々が目指すビジネスモデルの4つのステップになります。

図表