オストラム・アセット・マネジメント 副最高経営責任者 グローバルCIOのイブラヒマ・コバール氏に、プライベート・デット市場投資への取り組みなどを聞いた。(取材日:2019年4月5日)

イブラヒマ・コバール氏
オストラム・アセット・マネジメント
副最高経営責任者
債券および株式部門CIO
イブラヒマ・コバール

御社の特徴および主な運用資産は。

コバール 当社は、欧州、米国、アジアに約30の運用子会社を擁するナティクシス・インベストメント・マネージャーズのなかでも、運用資産額は2570億ユーロと最大規模を誇る。前身の運用会社は1984年に設立し、2018年4月に現在の社名に変更。運用資産は債券が85%を占める。 

注目する戦略は。

コバール バーゼルIIIにより、銀行の保有資産のうち不動産担保ローンなどが縮小対象となった。機関投資家は新たな投資機会としてこれを歓迎する動きがあり、当社は2012年に不動産を対象としたプライベート・デット戦略を組成。その後、インフラストラクチャー、航空機ファイナンスなどの分野へと拡大した。2019年に入り第3号となる欧州不動産を対象とした不動産シニアローンファンドのローンチを計画。これらの戦略は、低金利環境が長期化する昨今では、低流動性プレミアムによる利回りも期待できることから投資家ニーズが高い。

香港に事務所を新立した狙いは。

コバール 香港は2チーム体制で運営をスタートした。一つは、APAC(アジア太平洋地域)のインフラストラクチャーを対象としたコミングルファンド(複数の不動産・投資家を対象とする私募形式の運用プロダクト)を運用。当該地域の経済成長率は引き続き高く、とりわけインフラ需要の拡大が見込める。もう一方は、グループであるナティクシスの投資銀行部門との共同投資プロダクトを担当。投資銀行部門の保有資産をグローバル機関投資家へ取引機会を提供できる点が特徴だ。ポートフォリオ構築の際、マネージャーであるオストラムは投資家のために厳しく資産を評価する。過去には、銀行から提案された5つの資産のうち、条件に満たない3つを断ったこともある。