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マイナス金利を乗り越える年金運用 第1回 債券運用の改善や代替手段には限界。残された手段は「多様な資産の分散投資」金利は容易に上がらないという覚悟が必要
低金利の背景にあるのは人口減少社会の到来
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金融研究部研究理事
年金総合リサーチセンター長
徳島 勝幸(とくしま・かつゆき)
1986年京都大学法学部卒。1991年ペンシルバニア大学ウォートンスクールMBA。資産運用関係の業務に25年以上にわたって従事し、債券投資、資産配分、クオンツ運用、リスク管理、運用コンサルティングなど、さまざまな経験を有する。社会保障審議会資金運用部会委員を務めるほか、証券アナリストジャーナル編集委員でもある
日本銀行がマイナス金利政策を導入したのは、2016年のことであった。その前に、いわゆる異次元の金融緩和が導入されたのは2013年4月である。間もなく黒田東彦総裁の就任から7年が経過する。この間、日銀による強力な金融緩和政策によって、円金利は大きく低下している。異次元の金融緩和が導入される直前の2013年3月末の国債利回りは、5年で0.131%、10年で0.564%、20年で1.406%、30年だと1.555%だった。2019年12月末時点では、5年でマイナス0.13%、10年でマイナス0.015%、20年で0.279%、30年で0.41%と、年限によっては符号がマイナスになり、プラス利回りの年限も大きく水準を低下させている(図表)。
金利低下の背景に日銀による強力な金融緩和政策があることには異論がない。しかし、現下の日本経済における低金利の原因を、金融緩和政策のみに帰すことは大きな誤解を招きかねないと考える。
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