家計の財布の紐は一段と固くなる
年間の値幅が9円99銭と史上最小を記録した2018年から一変し、2019年のドル円は104円台まで急落して始まった。その要因として、米株式相場急落に伴う「リスク回避の円買い」を挙げる声が多い。米中間の貿易摩擦や英国のEU(欧州連合)離脱に伴う不透明感も強まる見込みだ。3月までは、本邦勢の円買い需要も高まると見られる。
加えて、ドル安要因も少なくない。2019年に入ってからのパウエルFRB(米連邦準備理事会)議長の発言を踏まえると、3月の利上げは見送られる可能性が高い。インフレ圧力が高まらない限り、利上げを休止したあとの再開へのハードルも高いだろう。これが米ドル金利の低下を通じてドル相場を下押ししている。年末のドル不足を背景とするドル高圧力も和らぎ、年初からドルが軟化するここ数年の季節性も顕在のようだ。
ただし、2019年のドル円を展望するうえで最も重要な点は、米国の利上げ路線と日銀の異次元緩和姿勢が継続した2018年でさえ、円がドルをも凌ぐ最強通貨となった事実だ。過去5年間のデータを見る限り、円相場は対外的な名目金利差より、日本の実質金利(=名目金利-インフレ期待)との相関が高い。
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