新シリーズ【プライベートアセット再整理】第2回の今回は、プライベートアセットの代表格、プライベート・エクイティ(PE)について、改めて根本的な部分から特徴や投資意義について深掘りしていきます。ラッセル・インベストメントで主にプライベートアセットのコンサルタントを務める山浦厚能さんにやさしく、詳しく解説していただきます。

PEと上場株を比較する好機

トランプ米大統領が就任して3か月近くが経過しました。就任早々から関税をかけると宣言。実際に想定以上の関税引き上げを公表すると、リスク回避しようと株式市場は大幅に下落しました。一転して前言を翻すと、今度は大幅に反転。こんな状況の時に、PEはどんな反応を見せるのですか。

山浦 金融市場の不確実性は恐怖指数(VIX)の高まりとなって現れ、市場のボラティリティつまり価格変動幅は大きく拡大しています。しかし、市場変動によるボラティリティは、企業の本源的価値とは乖離した動きです。価値が大きく毀損しない限り、PEへのダメージは限定的と言えます。PEは市場ボラティリティから避難できる資産クラスなのです。その意味で、現在の投資環境はPEと上場株式を対比して議論するには適したタイミングかもしれません。

上場にメリットとデメリット

では初歩的過ぎかもしれませんが、そもそも企業が株式を上場する目的は何か。そこから伺いたいです。

山浦 企業が上場するメリットは

①市場から資金調達しやすくなる
②上場することによって知名度などのステータスを高められる
③人材採用がしやすくなる

――といった点です。

一方で、東京証券取引所は上場企業に対して「資本コストや株価を意識した経営」を要請しています。

株価は分かりますが、「資本コスト」とは何ですか。

山浦 企業の資金調達に伴うコストのことです。具体的には、借り入れに対する利息の支払いとか、株式に対する配当の支払いなどです。こうした実態を正確に把握して、適時適切に投資家に伝える必要があります。取引所から求められる情報開示の量も増えてきているわけです。経営資源が潤沢ではない企業にとっては、上場維持の負担つまりデメリットは確実に増しています。

世界的に上場企業は大きく減少

そういえば最近、大手企業がグループ会社を完全子会社化して上場廃止になる、といった報道をよく目にします。

山浦 そうですね。実は世界的に上場企業の数は大きく減少しています。【図表1】は日米独3カ国の例です。欧米先進国と比較すると、日本だけが異なる動きをしています。また、アメリカは最近になって若干盛り返しています。

【図表1】日本、アメリカ、ドイツの上場企業数の推移
国名 2000 2010 2020
日本 2,292 3,511 3,869
アメリカ 6,917 4,279 4,104
ドイツ 744 690 438

出所:日本は日本取引所グループ公表の全市場における上場企業数。アメリカ、ドイツは世界銀行のデータ。ラッセル・インベストメント作成

ただ当然ながら、アメリカやドイツで上場企業の破綻が増加した結果、上場企業が減少しているわけではありません。上場企業が「非上場化」を選択したことが一因として挙げられます。

PEと組んで企業を変革

欧米での上場企業の減少とPEは何か関係があるのですか。

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