【ここが知りたい感どころ】シリーズは今回が最後です。このところ、日本を含めて世界各国が久方ぶりの「金利ある世界」に戻ってきました。これが企業年金の運営あるいは資産運用にどういう影響を及ぼすのか。ラッセル・インベストメントの金武伸治さんに解説していただきます。

欧米に続いて日本も利上げ

「金利のある世界」。経済の分野で、すっかり世界共通の現状認識となりました。企業年金への影響も何となく想像がつきますが、改めて整理していただけますか。

金武 了解しました。日本はマイナス金利やゼロ金利の環境から脱却し、2024年7月31日の日銀金融政策決定会合で政策金利である短期金利(無担保コール翌日物レート)の誘導目標を0.25%程度に引き上げました。この利上げに伴い、 先進各国に追随する形で「金利のある世界」へ移行したわけです。これに連動して長期金利も上昇し、2025年2月末現在で日本国債(10年)利回りは1.38%、2023年度末対比で0.65%上回る水準になりました。

日本に先んじて2022年から利上げを行っていた米国・欧州・英国などでは、米国国債(10年)利回りが4.2%付近(2025年2月末時点)。また独国債(10年)は2.4%付近(同)、そして英国債(10年)は4.5%付近(同)で推移しています。

【図表1】日本国債(10年)利回りの推移
日本国債(10年)利回りの推移
出所:Bloombergのデータを基にラッセル・インベストメント作成

将来債務の現価計算に影響

金利のある世界に戻ってきたことで、企業年金制度の運営上ではどのような変化が想定されるのでしょうか。

金武 国内金利の上昇には、メリットとデメリットの双方が考えられます。

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