「長期に保有していれば株式はいつかは上がる」という神話は崩壊したようだ。右肩上がりで経済が成長する時代は終わったとはいうものの、いまだ成長幻想を信じて旧来の運用手法にこだわり続けている投資家が少なくない。運用成果の基準となっているベンチマークそのものへの懐疑論も広がっている。突発的な経済危機や自然災害など、確率論的に起こる可能性がきわめて低い「テールリスク」が起きる可能性がある今、機関投資家のポートフォリオ戦略は根本的に見直しする時期に来ている。(笠原崇寛)
集中投資や最小分散、ヘッジファンドに注目
「これは何のチャートでしょうか?」(図表1)。野村證券フィデューシャリー・サービス研究センターのフィデューシャリー・マネジメント部長、荻島誠治氏は運用機関向けのセミナーで、こう切り出した。答えはTOPIX(東証株価指数)の推移。15年間、日本株に投資し続けたとしても年平均でマイナス3%の成績だ。
下がり続ける日本株のベンチマーク= TOPIXよりパフォーマンスが上回ったところで、運用成績は改善できない。同研究センターの調べによると、TOPIXをベンチマークとする評価の高い日本株アクティブ運用の11ファンドを調べてみたら、過去3年の超過リターンは平均で約2.11%となっている。
「評価期間のTOPIXのリターンはマイナス12%。超過リターンがプラスでも絶対リターンはマイナスだ。ベンチマークに勝てばいいという発想では、α(超過リターン)があっても運用成績は悪化の一途をたどるだけ。ベンチマークそのものを見直し、これまでとは違った株式の運用戦略が必要だ」と荻島氏。
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