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三菱UFJ信託銀行 資産運用情報 売買データから見える為替市場の特性三菱UFJトラスト投資工学研究所 上席研究員 佐藤 賢一/須田真太郎
須田 真太郎
三菱UFJトラスト投資工学研究所研究部 主任研究員
2013年 東北大学大学院経済学研究科博士前期課程修了。同年4月に三菱UFJトラスト投資工学研究所入社
Ⅰ.はじめに
為替の変動要因やその予測についてはこれまでさまざまな研究成果が報告されている。その流れの中で、近年、売買データを活用した研究がアカデミック分野で注目を集めている。このようなデータが利用できるようになってきたことで、株式市場や債券市場と異なり主たるマーケットが存在しない為替市場についても、それに参画する投資家の行動を観察・分析できるようになってきたことが背景と考えられる。
また昨今、世界的な金利上昇を受けて相対的に低金利が続いている日本において歴史的な円安が進んでいる。それに伴って政府による為替介入の実施もあり、円相場は乱高下が激しい。そのような状況下において国内投資家の為替に対する注目は高く、ファンダメンタルズだけでなく売買データから見える投資家行動に関する分析は意義深いものと考えている。
本稿では、どのような取引主体の投資行動が為替レートの動きと相関が高いのか、相対的に先行性のある売買フローはどの取引主体によるものかなどを実証分析により示し、その背後にある投資家行動の仮説について議論を行いたい。
Ⅱ. 売買データに関する研究の振り返り
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