来週を考える|The Week Ahead ECBの緩和:現行ペースを維持?2024年11月30日(金)配信号
伝統的に、感謝祭の休日を過ぎると市場の動きは鈍化し始めます。これは年末を意識した銀行がバランスシートの使用を抑制し、流動性が低下することで投資家がポジション変更に伴うコスト増を警戒するためです。今年は、例年のパターンが繰り返されるとしても、重要なリスクイベントがいくつも重なっており、投資家にとって検討すべき材料が豊富にありそうです。
ユーロ圏では、経済活動に関する最新のニュースは期待外れなものでした。11月の購買担当者景気指数(PMI)速報値は、年末に向けた成長の勢いが薄れつつあることを示唆しており、総合指数は50から48.1に低下しました。50を大幅に下回ったのは、年初来のことです。個人消費の低迷、多くのユーロ圏政府の財政引き締めへのシフト、そしてトランプ次期政権下での関税引き上げの見込みを背景に、企業の警戒感がいっそう強まっている可能性があります。
こうした状況を受け、欧州中央銀行(ECB)はジレンマに直面しています。一方では、ユーロ圏のヘッドラインインフレ率はECBの目標である2%にまで低下していますが、食品とエネルギーを除いたコアインフレが春以降、前年比2.75%近辺で足踏みしていることから、ECBは長期的な展望に基づく政策対応に消極的です。他方、ECBはここ数四半期の成長が予想より弱いことを認めており、9月のインフレ指標は改善の兆しが乏しかったにもかかわらず、9月初めに発表された期待外れのPMIに対応して25 bpの利下げを行いました。ECBが12月の会合で成長予想を再び下方修正する可能性が高いため、ECBの取りうる選択肢を検討しておく必要があります。
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