J-MONEYカンファレンス「市場環境の「変革期」が創り出すプライベートアセット運用の新たなチャンス」 【パネルディスカッション】プライベート投資の最新事情〜企業年金が今、考えていることゲートキーパー活用し超分散投資 〜ファンド230本を2人で運用する総合型企業年金「JJK」
J-MONEYカンファレンス「市場環境の『変革期』が創り出すプライベートアセット運用の新たなチャンス」が2024年9月26日、東京・日本橋のベルサール東京日本橋で開催された。当日行われたプログラムのうち、パネルディスカッションでは、企業年金の立場から見たプライベート投資の最新事情について議論された。本記事では、パネルディスカッションのもようをダイジェストでお伝えする。
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【パネリスト】
全国情報サービス産業企業年金基金(JJK)
経営企画部
資産運用管理課長
岡野 創氏
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【パネリスト】
野村フィデューシャリー・リサーチ&コンサルティング
フィデューシャリー・マネジメント部
シニアコンサルタント/ソリューショングループリーダー
木須 貴司氏
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【コーディネーター】
J-MONEY 論説委員
(朝日新聞企業年金基金・前常務理事)
阿部 圭介氏
全国から882社が加入。年金資産は2800億円
阿部 これまでのパネルディスカッションでは、単独型あるいは連合型の企業年金基金に登場いただいた。今回は初めて総合型の基金をお招きした。単独あるいは連合型の企業年金は負債サイドを考慮して予定利率などを決めるわけだが、総合型に加入する企業では年金はオフバランスとなるので、負債を考える必要がない。もっぱら収益面を考慮すればいいという違いがある。今回お招きした全国情報サービス産業企業年金基金、略称「JJK」は加入企業数も年金資産額も非常に大きな総合型の中でも有数の基金だ。
今日これからのセッションでは3本柱で議論を進めていきたい。1つ目は総合型としてのJJK の資産の中身について。また、JJKはいわゆるゲートキーパーをうまく活用して超分散投資を行っている。2つ目はそこを詳しく伺う。最後に日本もインフレの時代に入ったわけだが、そこに関しての企業年金としての留意点、とりわけプライベートアセット投資の意味合いなどを、コンサルタントの観点から木須さんに聞いていきたい。
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岡野 私どもの企業年金基金は現在、北は北海道から南は沖縄までのシステム開発やソフトウエアを手がける企業882社が加入している。「JJK」は何の略なのか、よく聞かれるがはっきりしない。どうも「ジャパン情報基金」というのが発祥のようだ。【図表1】が当基金の概要となる。年金には第1年金と第2年金があり、すべての企業は第1年金に加入いただき、もう少し積み増したいという企業向けに第2年金がある。今回は第1年金についてお話をさせていただく。【図表2】は第1年金の政策アセットミックスだ。
【図表2】でご覧いただくように、資産は大きく3つに分類している。「収益追求資産」「安定資産」「オルタナティブ資産」だ。収益追求資産は具体的には内外株式で合計10%。おそらく他の基金と比べて少なめだと思う。一方、オルタナティブ資産には積極的に投資しており、さらに「実物資産」「高インカム資産」「分散資産」と3つに分けて管理している。
プライベートアセットという意味では、内外株式のうちの半分つまり5%がプライベートエクイティだし、オルタナティブの中にも「高インカム資産」の内訳としてプライベートデットが入っている。
ファンドの95%がゲートキーパー経由
阿部 2番目に、本日のテーマの中核である大変な数にのぼるファンドと、ゲートキーパー活用について。私自身、朝日新聞企業年金基金にいた時は50本前後のファンドを運用していたが、基金に着任して半年ほどはファンドの「顔と名前」が一致せず苦労した。それから見るとJJKのファンド数、今は228本とか。それを事実上わずか2人で運用されているという。まさに驚異的だ。
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