欧州債務問題に端を発した危機が起きるのではないかとの懸念があるなか、機関投資家にとっていかにダウンサイドリスクを抑えたポートフォリオを構築するかが喫緊の課題となっている。すべてのリスク資産が同時に下がる傾向にある状況で、果たして理想のポートフォリオはあるのか。分散効果を発揮できる新たなアセットクラスとは──。関係者に話を聞いた。(笠原崇寛)
金額ベースではなくリスク別の資産配分
「オルタナティブ投資を含め12のアセットクラスに分散投資しても、リスクは株式的性質のものが6割で、債券的性質のものが4割。リスク分散しているようで、実際にはリスクが偏っているため、危機が起きれば分散効果が発揮できないポートフォリオになってしまっている」(ブラックロック・ジャパンの運用部門グローバル資産戦略運用部長、藤田明成氏)
ダウンサイドリスクはできるだけ負いたくない。次なる危機に直面しても、2008年の金融危機の二の舞は避けたい。そこでオルタナティブ・アセットや新たな戦略を導入してきたが、いまひとつ分散効果が実感できない。そう悩む投資家は多いのではないか。
その答えが図表1だ。伝統4資産(国内外の株式・債券)に投資を行っていた1980年に比べて、2010年のポートフォリオはアセットクラスの数は増えている(米国の例)。しかしリスクを分解してみると、1980年のポートフォリオと大きくは変わらない。リスクは大して分散されていなかったのだ。
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