識者インタビュー ―日本経済の先行き、年金運用の未来― 財政の黒字化には消費税率15%以上。国債のリターンを上回る株式の比率増やす
国際金融の専門家であり、かつて日銀総裁候補にも名前が挙がったコロンビア大学教授の伊藤隆敏氏。公的年金運用の改革について検討した「公的・準公的資金の運用・リスク管理等の高度化等に関する有識者会議」の座長も務めた同氏へのインタビューを通じて、「アベノミクス」や「黒田日銀」、「公的年金運用」の実相に迫った。(工藤晋也)
アベノミクスの成功は財政再建と成長戦略がカギ
「2015年は消費税増税延期による財政再建の道筋をどうするか、第3の矢『成長戦略』の実行が安倍政権の大きなテーマとなる」
2014年12月14日に投開票された衆院選は、与党の自民、公明両党が全議席の3分の2を上回る326議席を獲得した。与党圧勝により、安倍晋三首相の掲げる経済政策「アベノミクス」は国民の信任を得たことになる。だが、その目前には「財政再建」や第3の矢「成長戦略」という難問が待ち構えている。
財政再建では、2020年度にプライマリーバランス(基礎的財政収支=PB)を黒字化する目標を掲げており、その道筋を2015年夏までに示すと政府は明言している。しかし、財政再建の道のりは平坦とはいえない。
国際金融の専門家である伊藤隆敏氏は「2017年4月に消費税率を10%に引き上げるとしているが、それだけではプライマリーバランスを均衡化することはできない。成長戦略によってGDP(国内総生産)成長率が順調に伸びれば税収にも期待できるものの、赤字幅を大きく縮小できるほどのインパクトは望めない。さらなる消費税率の引き上げと歳出の7割を占める社会保障費の削減が必要になる」と指摘する。
プライマリーバランスを黒字化するには消費税率をどこまで引き上げればいいのだろうか。
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