来週を考える|The Week Ahead 辰年の中国、デレバレッジが続く見込み2024年2月26日(金)配信号
中国経済にとって辰年は波乱の幕開けとなりました。弊社は、中国で進んでいる民間セクターのデレバレッジ(債務圧縮)が今後も続く可能性が高いと見ています。これは、同国の成長と物価安定の足かせになると予想されます。中央政府が2021年に高レバレッジの不動産開発業者を取り締まる方針を決定したことは、中国が2008年の「4兆元の景気刺激対策」の開始以来追求してきた、借り入れを原動力とする投資主導の成長モデルの終焉を意味していました。
大規模な財政・金融救済策がなければ、不動産セクターが今後12~18カ月以内に安定する可能性は低いと思われます。つまり、企業(特に民間の不動産開発業者)も家計もデレバレッジのために既存の不動産在庫の売却を迫られる状況が続き、全体的な需要が弱まり、景気にデフレ圧力がかかることになります。
中央政府は、国債を増発し、インフラプロジェクトや都市リノベーションプロジェクトの資金負担を増やしていますが、弊社は現行の規模では十分でないと考えます。不動産セクターを安定させ、民間セクターのデレバレッジのプロセスを抑制するには、より大規模な中央政府の財務資源の投入とマクロ政策の緩和が必要になる可能性があります。
中国が直面している問題は一見すると、1990年代の不動産バブル崩壊後の日本といくらか類似しているものの、大きな違いもあります。
第一に、日本の不動産価格は、高騰から暴落までのサイクルが完全に一巡し、企業セクターのバランスシートにダメージを残しました。中国の場合、不動産価格は調整が進んでいるもののまだ高止まりしており、大きな影響を受けている企業はほぼ、巨額の債務を抱えた民間の不動産開発業者に集中しています。
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