「脱国債」の受け皿として機関投資家のオルタナティブ投資が加速している。なかでも、長期のインカム強化を狙う投資家は、「インフラ・デット」「インフラ・エクイティ」に関心を寄せている。運用会社の担当者に2つの資産の魅力を聞いた。
公共色の強い資産が対象、安定したインカムに期待
長引く低金利環境のなか、満期償還を迎える国債の代替投資先としてオルタナティブ資産に資金を振り向ける動きが加速している。なかでも、存在感を増しているのがインフラ投資だ。
インフラ投資では、主に水道やガス、電力配送網、空港など日常生活や経済活動に不可欠なサービスを提供する事業に投資をする。公共色の強い事業を対象資産とする特性から、投資期間は長期にわたり相対的に流動性は低くなる傾向があるが、インフレ耐性が強く安定したインカムが期待できる。そのほか、伝統資産との相関は低く、ポートフォリオ全体のリスク低減につながるとの指摘もある。特に、「長期契約に基づき、安定的な収入の見通しが立つ」や「事業において独占・寡占的立場を確立している」インフラ資産のリスクは低い傾向があるという。
マッコーリーアセットマネジメントの営業本部(マッコーリーインフラストラクチャーアンドリアルアセッツ)マネージャーの倉田千裕氏は、「不動産やプライベート・エクイティ(PE)などに比べると、インフラの市場規模は小さいものの、資金流入のペースは早い。再生可能エネルギーなどにも投資をするインフラ投資は、 ESG(環境、社会、ガバナンス)との相性がよく、投資・事業運営の過程にESGを組み込むインフラマネージャーを投資家が採用する傾向があることもインフラ市場の拡大の一因と考えられる」と話す。
一般的にオルタナティブ資産と言えば、不動産やヘッジファンドなどを最初に思い浮かべるだろう。インフラ投資は歴史が浅く、リスクの所在やリターンの源泉がわかりにくいなど、投資にはある程度の知見が求められる。
野村アセットマネジメント アドバイザリー運用部 PEインフラストラクチャー&ストラクチャリングチーム シニア・ポートフォリオマネージャーの寒河江弥生氏は、「インフラ投資は、投資案件の構築にあたり公的機関や事業運営会社、建設請負業者など、複数の関係者と契約を結ぶため、カウンターパーティリスクが高くなりやすい。また、国・地域によって公共サービスの利用者数や事業運営に関わる法律が異なるなどインフラ投資は個別性が高い。投資をする際は、案件特有のリスクの見極めが大切だ」と強調する。
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