2016年に女性活躍推進法が施行されて早2年。安倍晋三政権は、女性の就業促進に「労働力人口の増加」や 「優秀な人材の確保」などの意義を掲げている。他の先進国と比べて管理職などの女性比率が低いといわれる日本の運用業界において、実際にどのような取り組みが行われ、変化をもたらしているのか。
モビリティ制度などで男性も働きやすい職場に
厚生労働省の「雇用均等基本調査」によると、金融・保険業における係長相当職に占める女性の割合は全産業の平均を上回るものの、役員に占める女性の割合は極端に少ないという結果が出ている。2016年度は全産業平均が22.7%だったのに対し、金融・保険業は8.2%にとどまる(下図)。
JPモルガン・アセット・マネジメント 金融法人営業部 エグゼクティブ ディレクター 藤村真紀子氏は、「いま国内で流通する運用商品は、ほとんどが男性によって組成されたもの。女性管理職が増加すれば、受益者である国民と同等の男女比率で商品を組成することが可能となり、より投資家ニーズに適したバランスのよいラインアップが実現するのではないか」と提言する。
同社のグローバルでの資産運用部門を率いるCEO(最高経営責任者)はメアリー・カラハン・アードス氏という女性である。また、J.P.モルガン米国本社の経営委員会は11人中5人が女性であり、全社的に女性管理職は増えているという。有志社員による「Women on the Move」では、職場環境の向上や女性管理職層の拡大、女性社員の長期的なキャリア構築を支援するさまざまな活動を展開している。また、若手社員を対象としたメンター(相談役)制度では、性別や年齢に関わらず社員が自由に自らのメンターを指名できる。
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