マニュライフ・アセット・マネジメント 米国では資産の1~5%は「リアルアセット」に投資
マニュライフ・アセット・マネジメントでは2015年7月16日、年金基金などの機関投資家を対象にプライベートアセット全般やリアルアセットをテーマにしたセミナーを開催し、各資産の投資のポイントなどを紹介した。
基調講演を担当したラッセル・インベストメントのエグゼクティブ コンサルタントの喜多幸之助氏は、まずプライベートアセットとリアルアセットのそれぞれの優位性を説明。前者は「低ボラティリティ」「流動性プレミアム」「高いインカムリターン」など、後者は「株式や債券に対する分散効果」「効率的なリスク対比リターン」「情報優位性によるアクティブ運用の余地」「インフレヘッジ」を主な投資理由とした。
プライベートアセットにかかる流動性リスクについては、「投資期間は通常で3~5年、なかには10年超の資産もある。投資期間が運用担当者の任期を超えるケースがあり、投資を見送る年金基金も多い」と喜多氏は明かす。また、ファンドマネージャーの能力がパフォーマンスを左右することから、「安定運用ではマネージャー選定がカギになる」とアドバイスした。
続いてハンコック・ナチュラル・リソース・グループのマネージング・ディレクター、ティム・ケイエン氏が登壇。農地や森林、再生可能エネルギーを運用対象資産としてポートフォリオの一部に加えるメリットについて、株式や債券との相関性の低さやインフレヘッジ、人口増加や個人消費の拡大といった良好なファンダメンタルズのほか、魅力的なリスク・リターン特性を挙げた。
このうち「農地」はグローバルで約3兆ドルもの市場規模を誇る。期待収益率は、永年作物(果樹など)はインカムゲインが8~10%でキャピタルゲインが1~3%、1年生作物(穀物など)はインカムゲインが4~6%で、キャピタルゲインが3~5%という。「永年作物と1年生作物を組み合わせることで、リターンの安定性が一段と増す」とケイエン氏は提案した。
対する「森林」の市場規模は約3000億ドルで、過去の実績では年率リターンの大半をキャピタルゲインが占めているのが特徴だ。近年は需要の伸びにより、「木材供給量は拡大傾向にある」(ケイエン氏)という。
「再生可能エネルギー」はリスク・リターン効率の高さが強みだ。日本の政府が2020年までに再生可能エネルギーの比率を10%に引き上げる目標を掲げるなど、各国の政策や社会的なニーズという追い風が吹いており、「中長期的な成長が望める」とケイエン氏は語った。
最後に「典型的な米国機関投資家は、ポートフォリオの1~5%を森林や農林などのリアルアセットに投資している。なかには10%を超える機関投資家もいる」と話した。