2024年 オルタナティブ投資の着眼点 伝統的資産対比の妙味は調整も、引き続き分散投資の重要な選択肢機関投資家のポートフォリオ戦略【コラム】
PE・PDはファンド間でパフォーマンスが二極化
これまで長期にわたり続いてきた低金利環境から、欧米の金利水準の高まりと、円ヘッジコスト負担が重い世界へと転換を遂げてきているのが足元のマーケットだと考えている。これまでと少し様相が変わるため、大きなポートフォリオの見直しは必要ないにせよ、これまで機能していたプロダクトが機能しなくなる局面も出てくると思われる。
例えば近年のオルタナティブ投資では、市場ベータをなるべく抑制し、アルファの積み上げでリスクを抑えながらコツコツとリターンを積み上げるようなヘッジファンド系プロダクトが、年金基金などの機関投資家のニーズをとらえて人気だった印象を受ける。そうしたプロダクトの多くは期待リターンが4~5%程度であるが、足元のヘッジコストの高止まりを受けて、ヘッジコスト控除後のパフォーマンスが低迷しているケースが散見される。
ほかにも、海外不動産については厳しい局面が続いており、回復には時間を要する見通しだ。さらに金利負担の増加によってダメージを被る企業が増えてくるとすれば、プライベートエクイティやプライベートクレジットなどについては、マネージャーの目利き力やパフォーマンス悪化時の対応力が試される環境となるだろう。ファンド間のパフォーマンスの明暗が従来以上にはっきり分かれる展開が予想される。
ちなみに、グローバルな金利上昇を受けて、伝統的な債券を中心にパブリック資産のベース利回りが拡大している。それに対し、流動性リスクを抱えるオルタナティブ投資の相対的な投資妙味が低下してきている向きは確かにあるだろう。
ただし、だからといってオルタナティブ投資の将来性に不安を抱いて、投資をストップする必要はないと考えている。特に、クローズドエンド型のファンドでは、既存ファンドの残高の積み上がりを受けて、新たなヴィンテージの採用をいったんストップしようか迷うとの声も聞くが、当初の運用戦略通りオルタナティブ資産へのエクスポージャーを維持できなくなるほうが痛手になる可能性が高い。
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