日興アセットマネジメント 実質利回りの高さと分散投資効果が魅力のアジア現地通貨建て債券
日興アセットマネジメントは2020年1月23日、年金基金などの機関投資家や金融機関向けの「新春アジアセミナー2020」を開催した。講演の一つ「魅力の高まるアジア現地通貨建て債券市場」では、シンガポール拠点のポートフォリオ・マネージャーのエドワード・ング氏が、足元の投資環境と見通しを語った。
講演の前半では、ング氏はマクロ環境を説明した。2020年の世界経済は安定化し徐々に回復すると分析。債券市場では、実質利回りにおけるアジアと先進国市場との格差は依然として大きいと指摘した。
「FOMC(米連邦公開市場委員会)は現行の緩和路線を維持するとみる。しばらくは、低金利通貨で資金調達し、それを高金利通貨で運用して金利差収入を獲得するキャリートレード向きの投資環境が続く。先進国に比べて実質利回りが高い水準にあるアジアの現地通貨建て債券は、高い投資魅力を維持しているといえるだろう」(ング氏)
さらに、「分散投資効果」にも注目。ング氏は、「2019年11月時点の過去10年間のデータでは、米国債100%のポートフォリオのシャープレシオは0.90だったのに対し、米国債50%・アジア現地通貨建て債券50%では1.40に上昇した。日本国債、ドイツ国債、世界債券インデックスのケースでも、ポートフォリオをこれらの資産とリスク・リターン特性が低相関にあるアジア現地通貨建て債券を50:50とすれば高い分散効果で投資効率が向上することが確認できる」と語った。
講演の後半では国別の特徴を解説した。2019年12月時点の実質利回りが約7%と世界のBBB格のソブリン債で最も高いインドネシアは、海外で多くの機関投資家が注目しているという。2019年の通貨ルピアは落ち着いた動きを示し、インフレ率も2~3%で安定していることも好材料と述べた。
ング氏は、「アジア現地通貨建て債券と聞くと流動性を懸念する投資家が少なくないが、中国や韓国、インドなどはスムーズな売買に支障がないレベルだ。分散投資による安定運用の観点からも、機関投資家のポートフォリオ配分の一部として欠くことのできない存在といえるだろう」と強調した。