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知りたい!隣の企業年金・第18回 ブラザー企業年金基金――アセットミックス、リスク源泉別に変更〜コロナ禍にポートフォリオ抜本改革
115年前、兄弟2人が名古屋でミシン修理業を始めた。以来、タイプライター、プリンター、工作機械の開発・製造まで事業の拡大と変革を重ねてきたブラザー工業。今回は、このブラザー企業年金基金の小川佳宏(おがわ・よしひろ)顧問を訪ねました。小川さんはコロナ禍が始まった2020年4月に企業年金へ異動し、同年7月に常務理事・運用執行理事に就任。当初、ほぼ全面的にオンラインという制約の中で、政策アセットミックスの大幅な変更など抜本的な改革を行い、このほど2023年8月、後任にバトンタッチされました。
ブラザー企業年金基金の概要
- 所在地/名古屋市瑞穂区苗代町15番1号
- 設立年月/2005年9月30日(厚生年金及び代行返上による基金設立)
- 資産総額/521億円
- 加入者数/4329人 受給者数/1230人
- 予定利率/2.5% 期待運用収益率/3.0%
- 収益率の実績
2020年度:12.77%
2021年度:3.40%
2022年度:0.57%(いずれも修正総合利回り)
(いずれも2023年3月末現在)
資産運用委員会も代議員会もオンライン
2020年4月というと、当時の安倍晋三首相が7日に新型コロナウイルス蔓延防止を目的に「緊急事態宣言」を発出。朝日新聞企業年金基金で常務理事だった私も、その日に初めて在宅勤務をしました。ここからコロナ禍に全面的に覆われた3年間が始まったわけですが、小川さんはこの時点が企業年金運用の責任者としての起点だったのですね。
小川 そうです。母体の方針として「オンラインでできる業務はすべてオンラインで」というのがありましたが、常務理事・運用執行理事としての業務はリモートでは週2日程度がマックス。紙での裁定処理や資金移受管の捺印のため出社しなければなりませんでした。ちょうど3年務めたわけですが、退任の挨拶をした7月の代議員会もWEB開催でした。
企業年金基金の勤務は初めてだったと聞きました。業務に習熟する前からオンラインがメインというのは厳しかったのではありませんか。
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