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マクロ経済 米国を中心とした金融不安と3つの視点
前例のない急激な預金流出
2023年3月以降、米国を中心に複数の銀行の実質破綻(はたん)や救済買収を伴いつつ、金融不安が台頭した。それが、今後実体経済や2022年来継続してきたインフレ抑制のための金融政策の引き締めの行方にどのように影響していくかに関心が集まっている。興味深いのは、実体経済や金融政策運営への影響を評価する上での大前提として、今次の金融不安の原因や構図をどのように捉え、理解するかについて、市場参加者や当局者の間で、異なるいくつかの視座、視点が存在しているように見える点である。
第1の視点は、金融引き締めと連動して発生した市場金利の急上昇が銀行などの資産価値を大幅に毀損(きそん)する結果に至った因果関係に注目する視点である。預貸率が低く、その裏返しとして国債を中心とする有価証券運用への依存度が高い邦銀について、仮に、日本銀行の金融緩和が解除される場合、同様の事態が生じるのではないかとの連想は、この視点に立脚するものだ。
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