米経済に依然燻るインフレ圧力。ドルは下げ止まり、保ち合いへ

ドルの名目実効為替レートは、2022年10月にFRB(米連邦準備理事会)による利上げペース減速を織り込んで米10年金利の上昇が一服すると、それまでの上昇から反落に転じたが、2023年以降は下げ止まり、保ち合い推移に移行した。ここまでの急速な利上げの米経済への影響は徐々に顕在化しつつあるものの、労働市場は依然逼迫しており、インフレ圧力は根強く残っている。市場が年内利下げ見通しの修正を迫られるのに伴い、米金利は持ち直し傾向にあり、こうした状況が足元のドルの底堅さの背景となっている。

このようにドルは米金利と一定の相関があるが、これまで本欄で指摘してきたように、大局的なドルの名目実効為替レートのサイクル(ドルサイクル)は、米国株価指数(米S& P500株価指数)を新興国株価指数(MSCI新興国株価指数:現地通貨建て)で割った株価指数比率と連動性が高い。また、この株価指数比率の分子・分母にあたる両株価指数の上昇・下落の組み合わせからドルサイクルを局面①~⑤に分類し、分析・予測に利用できることも指摘してきた。

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