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銀行の破綻が相次ぐも、金融システム不安は見ないふり?
金融危機は本当に収束しているのか。
日経平均が3万円を優に超え、3万1000円が近づいている。バブル期以来32年ぶりの高値である。ほぼ決まった形で為替は円安が進み140円台に突入した。
この背景は何か。結局は金融政策が緩和モードであること、これが継続されることが“ほぼ確定した”ことを理由に株高が進んでいる、と解説はできるのだが、一方では金融危機が本当に収束しているのか、という問題も抱えている。このちぐはぐ感をどう理解したらいいのだろう。
こうした問題に答えは出ないが、まずは現代版金融危機を定義し、それが収束していくための道筋を考えてみることにしたい。
欧米に端を発した金融システム不安
米国で暗号資産関連企業を中心に取引していた銀行持ち株会社米シルバーゲートキャピタルが自主清算を選んだのが2023年3月8日。西海岸のエコシステムの中核を担ってきたと言われたシリコンバレーバンク(SVB)が経営破綻したのが同年3月10日。続く3月12日にはシグネチャーバンクが破綻したが、商業用不動産やプライベートエクイティなどに強みがあったと言われていたほか、仮想通貨事業の集中度が高かったことが預金者の疑念につながり、預金流出を止められなかった。
2023年5月1日にはファーストリパブリック銀行が経営破綻、JPモルガン・チェースによる買収が決まった。また、欧州では同年3月19日に、G-SIBs(グローバルなシステム上重要な銀行)の一翼を担うクレディスイスがUBSにより買収支援を受けることが決まった。
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