鉱工業生産は引き続き弱含み

角田 匠(信金中央金庫)
信金中央金庫
地域・中小企業研究所
上席主任研究員
角田 匠

経済産業省から公表された2023年2月の鉱工業生産指数は前月比4.5%増と事前の市場予想(2.7%増)を上回る高い伸びとなった。生産用機械や自動車、電子部品・デバイスなどを中心に主要15業種中9業種で増加した。

もっとも、2023年1月に前月比5.3%減と大きく落ち込んだ反動といった側面が強く、2023年1~2月の平均の指数は2022年10~12月期を2.8%下回っている。製造工業生産予測指数によると、2023年3月も前月比でプラスが見込まれているが、当研究所では、2023年1~3月期の鉱工業生産指数は前期比2.1%減と2四半期連続で減少すると予想している。

対中輸出規制の強化も生産活動の下押し要因

国内の生産活動は当面も弱い動きが続くとみている。米欧を中心に製造業が減速していることに加え、世界的な半導体サイクルが下降局面にあるためだ。

中国はゼロコロナ政策の解除を受けて景気が持ち直しているものの、現時点の回復はサービス消費が中心であり、消費財や資本財の需要回復にはもうしばらく時間がかかるとみられる。また、米国と足並みを合わせるかたちで日本政府が対中輸出管理を強化していることも生産用機械や電子部品などの生産を下押しする要因になろう。

自動車生産に持ち直しの兆し

一方、国内生産活動にとってプラス要因になりそうなのが自動車生産の持ち直しだ。自動車メーカー各社は、長引く半導体不足の影響で生産調整を強いられてきたが、足元では供給制約が緩和しつつあり、工場稼働率を引き上げ始めている。

製造工業生産予測指数から輸送機械工業の生産指数の推移をみると、半導体不足の影響で実績が計画を大きく下回る状況が続いていた(図表)。特に2022年前半は半導体の調達が難航し、生産台数の大幅な下方修正を余儀なくされた。

【図表】輸送機械工業の生産計画と実績
輸送機械工業の生産計画と実績
出所:経済産業省「製造工業生産予測指数」

しかし、2022年後半にかけて半導体不足は徐々に緩和に向かい始め、2023年2月には、ほぼ計画通りの水準まで生産が持ち直している。国内外で受注残が積み上がっていることもあり、半導体調達が正常化することで生産水準はもう一段切り上がる公算が大きい。

生産用機械や電子部品・デバイスなどへの逆風は当面も続くとみられるが、自動車を中心とした輸送機械工業の挽回生産が国内の生産活動を下支えすると予想している。