2025年は浮き沈みのある一年ではあったものの、地方債市場は多額の新規発行が続く局面を、比較的落ち着いて吸収することができました。年初に見られたテクニカル要因による逆風は、年後半にかけて徐々に和らぎ、発行体のファンダメンタルズが依然として堅固であることが改めて確認されました。

ジョン・ミラー
ファースト・イーグル・インベストメンツ 
地方債クレジット・チーム責任者 兼 最高投資責任者(CIO)

デューク大学にて経済学および政治学の学士号を取得し、ノースウェスタン大学にて経済学の修士号、シカゴ大学にてファイナンスのMBA(優等)を取得。
1993年にプライベート・アカウント・マネジメント会社でキャリアをスタートし、1996年に地方債クレジット・アナリストとしてヌビーンに入社。地方債部門の責任者や複数の地方債ポートフォリオのポートフォリオマネージャーを歴任。
2024年1月にファースト・イーグル・インベストメンツに入社。

発行ラッシュ

米国の地方債市場では2024年に記録的な新規発行が見られましたが、2025年は11月時点ですでにその水準を上回っています(図表1)。当社は、この急増には複数の要因があるとみています。

■図表1:2025年、米地方債発行は再び過去最高を更新(年間発行額、10億米ドル)
注記:合計は債券の種類(GO債=一般財源保障債、Renevue債=レベニュー債)と、税区分(AMT債、非課税債、課税債、私募債)ごとに年間発行額を集計したものです。
出所:SIFMA、2025年11月30日現在のデータ
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2022~23年の利上げ局面では発行を控えていた自治体が、コロナ禍期の連邦政府による財政支出やパンデミック後の税収増といった恩恵が薄れるにつれ、先送りしていた資金需要を満たすために市場に戻ってきています。一方で、鉄鋼、コンクリート、木材、土木工事、熟練・非熟練労働力など、各種投入コストのインフレにより、資本プロジェクトの費用は大幅に上昇しています。

このような支出の多くはインフラ関連プロジェクトに集中しており、米国のインフラ投資に充てられる資金の約90%が地方債によって調達・支出されていると推計されています(※1)。さらに、米国のインフラ投資ニーズが鈍化する可能性は低いと見られています。米国土木学会(ASCE)は2025年のインフラ評価で米国のインフラを「C」と格付けしましたが、これは2017年の「D+」からわずかに改善した程度にすぎません(※2)。当社は、全米で喫緊に必要とされているインフラプロジェクトの資金調達手段として、地方債市場が最も効率的であると考えています。

※1:Justin Marlowe『地方債とインフラ開発 ― 過去・現在・未来』国際市・郡行政管理協会(2015年8月)
※2:米国土木学会、2025年3月25日現在のデータ

かつて懸念されていた、地方債利子の非課税扱いが変更される可能性についての不安(現在は払拭済み)も、発行体が将来の制度変更に先んじて有利な税制を確保しようとする動きを促した可能性があります。2025年7月に成立した、トランプ政権の目玉政策となる減税法案「One Big Beautiful Bill Act(OBBBA)」は、最終的には地方債利子の非課税措置に何ら影響を及ぼしませんでした。しかし法案成立までの過程では、例によって制度変更が行われるのではないかという懸念が広がりました。この問題は時折取り沙汰されるものの、非課税措置が地域、政治的立場、所得層を問わず有権者から広く支持されていることは、将来的な変更や制限の可能性を抑制する要因になると当社は考えています。

地方債のファンダメンタルズは堅調を維持

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