知りたい!隣の企業年金・第34回 味の素企業年金基金-常務理事は「海外駐在員」〜外に広がるアンテナ、やりがい伴う面白さ満喫
製品や企業そのものの認知度でいえば、恐らく国内ナンバーワンでしょう。味の素株式会社。その企業年金基金を訪問しました。同社で経理・財務、労働組合専従、そしてベトナム現地法人の幹部も務めた衣斐達夫(えび・たつお)常務理事は、今の仕事は「海外駐在員と極めて似ている」と言います。「企業年金同士は業種などの壁を超えて横のつながりが強く、すぐ仲良くなれる。外に広くアンテナを張って勉強する必要があるが、とてもやりがいがあります」。資産運用を磨き上げる重要さと面白さを満喫しているようでした。

全世界31の国・地域で事業展開
ホームページの「3分早わかり味の素グループ」によると、創業は1909年。この年に、昆布だしに含まれるアミノ酸(うま味成分)から調味料「味の素」を商品化した。2024年度の連結売上高は1兆5305億円。セグメント別では「調味料・食品」が8960億円と依然約6割を占めるが、「ヘルスケア等」3283億円の中には、半導体向け絶縁材料といったラインアップもある。31の国・地域で121法人があり、全世界の従業員数は3万4860人を数える(2025年3月末時点)。
味の素企業年金基金の概要
- 所在地/東京都中央区京橋1丁目
- 設立年月/厚生年金基金(1981年設立)の代行返上で2012年9月に設立
- 資産総額/約2100億円
- 加入者/約3600人 受給者/約2600人
- 予定利率/2.0% 期待運用収益率/非開示
(いずれも2025年3月末現在)
着任3年目にコンサルタント変更
2020年7月に企業年金基金に着任された。コロナ禍の最初期ですね。
衣斐 そうです。外部からの接触がほぼ無く、運用会社の面談などがオンラインになるなど、極めて業務が制限されている時期でした。
そういった環境の中で、コンサルタントを変更されたと伺って驚きました。どういった経緯だったのですか。
衣斐 私自身が積極的に動いたわけではありません。2022年初め、母体の役員でもある基金の理事から「コンサルタントを変えたことはありますか。時々、相見積もりを取ったほうがよいのでは」と指摘されました。調べてみると、外資系のコンサルタント会社と24年間、継続して契約をしていました。
そこで総幹事とも相談して、外資系3社、国内2社の計5社のコンサルタントに声をかけました。ホームページで各社の代表電話番号を調べて、アポイントを取る状況でした。その際、通り一遍のヒアリングでは不十分と考えたのです。そこで、各社と秘密保持契約を結び、当基金のポートフォリオを全面開示したうえで、運用改善案を提案してもらいました。その結果、5月のゴールデンウイーク明けに別の外資系コンサルタントの採用を決めたわけです。
5項目の運用改善策→ファンド数は倍増
どういった理由で、そのコンサルタント会社を選んだのですか。
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