アーロン・チャン氏

アーロン チャン (Aron Chan)
ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ
ヴァイス・プレシデント
ゴールド・ストラテジスト

2024年6月にステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ(SSGA)に入社。グローバルのSPDR(スパイダー)・ゴールド・ストラテジー・チームに所属する日本拠点のストラテジストとして、日本における機関投資家ビジネスおよびファンドやETFを担当するインターミディアリービジネスのセールス活動を、金(ゴールド)とETFプロダクトの専門家としてサポート。
ステート・ストリート入社以前は、ウェルメイ株式会社のゼネラルマネージャーとして不動産投資の評価や新しい投資機会のソーシング業務に従事。それ以前は、ナットウエスト・マーケッツ証券会社、ソシエテ・ジェネラル証券株式会社、ICBCスタンダードバンクでさまざまな役職を歴任。 ICBCスタンダードバンクでは金を含むプレシャス・メタル(貴金属)の営業担当として、ビジネスの推進や顧客リレーションの開拓も担当。
ボストン大学経済学学士およびマギル大学大学院経営学修士を取得。また、慶応義塾大学にて日本語プログラムを修了。

第1四半期の力強い価格上昇とETFへの旺盛な資金流入のなか、当社は2025年の金価格の基本シナリオ(確率50%)のレンジを上限、下限とも1オンス200ドル引き上げ、1オンス2800~3100ドルとします。また、強気シナリオのレンジを1オンス3100~3400ドルに上方修正し、同シナリオの確率を10 ポイント引き上げて40%とします。弱気シナリオは1オンス2500~2800ドルに調整します(確率10%)。

投資家の需要回復、米国のリセッション/スタグフレーションリスクの高まり、地政学的不透明感の広がり、新興国の中央銀行による持続的な金購入、および現物金のタイトな需給環境を背景に、当社は今後6~9ヵ月の金市場について構造的に強気な見方を維持しています。とはいえ、相場の膠着や5~7%程度の下落のリスクは確かにあります。注目すべきは、そうした押し目では金の消費者や金融投資家の買いが入ると予想されることです。

1~2月の中国のリテール向け金輸入は予想よりはるかに低調でした。これは記録的な価格水準での買い疲れを示唆しているのかもしれません。パンデミック後の中国の消費者需要の回復が2023~2024年に金相場を支える重要な役割を果たしたことを考えると、これは注目すべき弱気材料です1

1 Source: General Administration of China, State Street Global Advisors as of March 31, 2025

今月の注目チャート

図表1 世界の金ETFへの流出入の月次トレンド
図表1
世界の金ETFへの流出
入の月次トレンド
出所:ブルームバーグ・ファイナンスL.P.,ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ、2025年3月28日時点

今月のチャート: ハイライト

  • 2025年第1四半期の世界の金ETFへの純流入量は計約155トンと高水準に達しました。2024年第4四半期はネット12トンの償還、2024年第1四半期は106トン超の流出超だったのに比べ、2025年第1四半期は買いが優勢でした。最近の金ETFの保有量の増加は、2020年以来初めて米国の投資家と西側の金融プレーヤーに主導されており、金へのポートフォリオ配分とマクロテールリスクヘッジへの関心が再び高まっていることを示唆しています2
  • 2025年第1四半期の世界の金ETFへの流入量のトレンド(3ヵ月移動平均)は、2022年4月およびロシア/ウクライナ戦争勃発後の最初の数週間以降で最も力強いものでした。現物金を担保とするETFの投資家が3年半に及ぶ持ち高削減サイクルを反転させ、金保有を増やし始めています。これは需給バランスを大幅にタイト化させる可能性がある強気な動向です。経済用語で言うと、ETF売りからETF買いへの転換は、金の消費曲線に対する総需要ショックが発生しています3
  • 注目すべき点として、2025年第1四半期の力強い流入にもかかわらず、金ETFの全体的な金保有量は依然として2020年10月の過去最高水準を20%超下回っています4。適正な市場環境の下では、これは2025年を通じて流入が拡大する余地が十分にあることを示唆しています。

2 Source: Bloomberg Financial L.P. and State Street Global Advisors, as of 3/31/2025.
3 Source: Bloomberg Financial L.P. and State Street Global Advisors, World Gold Council as of 3/31/2025.
4 Source: Bloomberg Financial L.P. and State Street Global Advisors, as of 3/31/2025

マクロ/見通しの修正

金が急騰し1オンス3100ドルに

金スポット価格は3月に9%急騰し、2025年第1四半期の最終取引セッションで史上初めて1オンス3100ドルを僅かに上回り、最高値記録を更新しました。

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