学校法人・金融法人の担当者必見!機関投資家ゼロからの資産運用 【債券・株式共通番外編】第4回 リーマンとコロナ、2大ショックの違い〜資金循環の不全か、先行き不安か
「債券・株式 共通番外編」では、「ベンチマーク」、「パッシブとアクティブ」を3回にわたってラッセル・インベストメントの金武伸治さんに解説していただきました。第4回の今回は「温故知新」的な内容です。2024年7月に公開した【債券編・第6回】「日本国債は常に『安定資産』だったのか」で、1998年から2003年にかけて日本国債を襲ったショックについて採り上げました。今回はリーマン・ショックやコロナ・ショックなど、株式市場をはじめとする金融市場全体のショックについて伺います。
高まるショックの頻度
私たちは、過去に幾度かのショックを体験してきました。
金武 そうですね。特に近年は、それまでは数十年に一度の確率でしか起きないといわれるようなショックを、数年に一度程度のペースで受けています。
【図表1】は、米国ハイイールド社債のスプレッド推移です。スプレッドとは、相対的に信用力の低い企業に対して、国債よりも高い利回りが要求されることによる上乗せ金利のことです。スプレッドが高い場合、投資家が信用リスクを負うことへの対価(リスク・プレミアム)をより高く求めているということですので、リスク回避姿勢を強めている、つまりリスクを負うことに慎重になっていると言えます。その状態が急激かつ異常な水準で発生していることを「ショック」と説明できます。
エンロン・ワールドコム事件とは、米国大企業のエンロンやワールドコムが不正会計の発覚によって破綻に追い込まれたケースです。これにより信用不安が一気に高まりました。
米国債ショックは、安全資産とみなされていた米国債に対して、米国格付機関のスタンダード&プアーズ(S&P)が、財政赤字削減への対応が不十分として「AAA」から「AA+」に格下げしたことが原因です。米国債格下げによる信用不安の高まりが世界中の株式市場や債券市場に伝播し、ショックへと発展しました。
チャイナショックでは、景気対策や金融緩和により中国株式市場が過熱していたなか、景気失速懸念による株式バブルの崩壊や人民元の大幅切り下げによる市場心理の悪化が発生しました。また信用取引の追加証拠金の発生に伴う強制売却などへ連鎖したのです。
そして影響が最も大きかったのが、リーマン・ショックとコロナ・ショックです。
金融システム・経済基盤・地政学リスク
これらのショックはさまざまな理由で発生しているようですが、何か共通の原因とか要素といったものはあるのでしょうか。
この記事は会員限定です。
会員登録後、ログインすると続きをご覧いただけます。新規会員登録は画面下の登録フォームに必要事項をご記入のうえ、登録してください。