知りたい!隣の企業年金・第29回 前田建設工業企業年金基金――コンサル・総幹事を徹底活用〜ゼネコン流の「月例会」で情報共有とベクトル合わせ
今回初めて大手建設会社(ゼネコン)の企業年金基金を訪ねました。前田建設工業は福井県で創業し、山岳土木工事を手始めに都市土木、建築、そして海外へと進出してきました。現在は建設とインフラサービスを融合させた「総合インフラサービス企業」を標榜しています。前田建設工業企業年金基金の矢鋪英美(やしき・ひでみ)常務理事は、同社で資材調達や建設現場など幅広い業務を経験してきました。企業年金基金の運営にも、ゼネコン流の工夫や矢鋪さん独自の考え方が反映されていました。
前田建設工業企業年金基金の概要
- 所在地/東京都千代田区飯田橋3丁目
- 設立年月/2005年3月に代行返上し、厚生年金基金から移行
- 資産総額/485億円
- 加入者/3410人 受給者/1563人
- 予定利率/2.0% 期待運用収益率/2.37%
(いずれも2024年3月末現在)
企業年金の用語辞典を「自作」
矢鋪さんとは最近、企業年金に関する各種のセミナーでよくお会いしますね。大変勉強熱心な方という印象です。
矢鋪 多くの企業年金の運用担当者もそうかとは思いますが、資産運用の経験などゼロですから、企業年金基金に着任して総幹事の説明や運用会社の四半期報告を聞いてもよく理解できませんでした。聞いたことのない年金や金融特有の専門(カタカナ)用語が出てくるたびに日本語に言い換えてもらったり、質問したり、ググったりしていましたが、らちが明かない。
そこで、分からない言葉や理解が難しい概念などを調べてはパソコンに書き込んでいきました。いつの間にかA4で20ページ強、200語ほどになりました(写真左)。
矢鋪版「企業年金用語辞典」ですか。よく見ると用語の説明だけでなく、「ワンポイント解説」が付けられたり、重要な部分にマーカーが引いてあったり。至れり尽くせりという感じです。
矢鋪 ええ。ノートパソコンで読めるので、今では出番が減りましたが四半期報告会などでカンニングしてもバレません。もっとも、この記事が公開されたら通用しませんが。
直近3年間でマイナス運用なし
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