多くの企業年金関係者にとって、最近の最大の関心事、悩みどころは為替ヘッジのコストではないでしょうか。為替ヘッジの基本的な仕組みなどについてはこれまでも解説してきました。しかし読者のみなさんから「基礎からおさらいしたい」「もっと詳しく知りたい」といった要望が寄せられています。そこで今回から、ラッセル・インベストメントの金武伸治さんに3回にわたって分かりやすく、深く徹底解説していただきます。

ヘッジコストは「ペナルティ」

改めて基礎に立ち帰って伺います。為替ヘッジとは何ですか。

金武 為替ヘッジとは、将来時点の為替レートを現在時点で固定することで、為替変動リスクをなくす(ヘッジする)取引です。これを「為替予約取引」もしくは「為替フォワード(先渡し)取引」と呼びます。

しかし、ただでリスクをヘッジすることはできません。効率的な金融市場ですから、リスクを負わない代わりにペナルティ(※)を負います。それが為替ヘッジコストと呼ばれるものです。
※厳密には、内外短期金利差によってペナルティ(不利な為替予約レート)とならずプレミアム(有利な為替予約レート)となることもある

ヘッジコストとは、為替リスクを負うことで享受できる海外金利を相殺するような将来の為替予約レートと、現在の為替レートとの差となります。

【図表1】は、ドル円レートについて、どのように為替予約レートが決定されるのかをイメージしたものです。為替リスクを負って米ドルに交換した資金を短期金利で運用すれば、米ドル短期金利を享受することができます。しかし為替リスクをヘッジした場合には、米ドル短期金利は享受できず、円短期金利と同等になるという考え方です。

【図表1】で、将来時点の1ドル=98円が為替予約レートとなります。そして為替予約レートと現在の為替レート(1ドル=100円)の差がヘッジコスト[-2%=(98-100)/100]となります。

【図表1】為替予約レート(イメージ図)
【図表1】為替予約レート(イメージ図)
出所:ラッセル・インベストメント作成

従ってヘッジコストとは、米ドル短期金利を取り消して円短期金利に交換することを意味するため、内外短期金利差とイコールになるわけです。

外債リスク、ほぼ為替に由来

ヘッジ外債についても、おさらいしたいです。

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