不動産やインフラといったリアルアセット(実物資産)投資に取り組む国内機関投資家が増えている。資産クラスごとに異なる特性を持つリアルアセットのプレゼンスが高まっている背景などについて、関係者に話を聞いた。(工藤晋也)
オルタナティブ資産の35%を占める“第三の資産クラス”不動産
海外機関投資家にとってオルタナティブ資産といえば、リアルアセットの一つである不動産が代表格になる。オルタナティブ資産の投資構成比では、PE(プライベート・エクイティ)などを抑え、株式や債券に次ぐ“第三の資産クラス” とも呼ばれる不動産が35%を占める(図表1)。対する国内機関投資家はどうか。年金関連の専門研究機関である年金シニアプラン総合研究機構 主任研究員の樺山和也氏は、「実はいま、国内機関投資家の間でも不動産やインフラといったリアルアセット投資が拡大している」と打ち明ける。
大きな理由は世界的な低金利だ。国内機関投資家の運用先の中心だった国内債券の投資妙味が薄れ、それに代わるインカム資産として目されるようになってきたのが、不動産やインフラである。低金利環境の長期化や政治的、経済的な不確実性の高まりで、投資対象の多様化が進んでいることも、この傾向に拍車をかけている。「国内債券を持ち続けていれば問題ないという時代ではなくなったこともあり、先進的な企業年金では4、5年前から不動産やインフラへの投資が広がっている」(樺山氏)
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