年金基金をはじめとした機関投資家のオルタナティブ運用において、安定したリターンの源泉として注目度を増す不動産投資は、新型コロナウイルス禍で下落した株式などの代替資産として、安定運用に欠かせない存在になりつつある。不動産投資の現状や展望、可能性について有識者に聞く連載「プロフェッショナルに聞く!不動産投資の潮流」。第2回では、ハイトマン マネージング・ディレクターの木浦尊之氏に、不動産投資の潮流について話を伺った。

金融政策のゆくえが今後の焦点に

木浦様お写真
ハイトマン
マネージング・ディレクター
木浦尊之

新型コロナウイルス禍で大きな不安感が覆(おお)った不動産投資。2020年にはパフォーマンスの低下が見られたが、2021年度は、例えば賃貸契約から生じるインカム収入を主な期待リターンの源泉とするコア型の運用戦略では28%のトータルリターンを生みだすなど、予想以上のカムバックをみせたようだ。(図表)

■NFI-ODCE 年率総合収益率

※クリックすると拡大します

年間利回りの図表
出所:NFI-ODCEよりハイトマン作成

ただし、不動産投資の予想以上の回復を、手放しで喜んで見ているだけではいけない。高いパフォーマンスを発揮した一方で、ポートフォリオにおける割合が過剰になっていないか注意しなければいけないからだ。

ハイトマン マネージング・ディレクターの木浦尊之氏は機関投資家の動きについて、「コロナ後、ポートフォリオの中で想定以上に不動産投資の割合が増えてしまった投資家も少なくなく、不動産の価格が上がった一方で、株式市場や債券市場のボラティリティが高まり、価格の低下も見られた。そのため、現状はポートフォリオ内に占める不動産の割合の調整を行う投資家もあり、解約と新規の投資の両方が入り混じる局面であると考えている」と説明する。

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