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著者インタビュー 河野龍太郎氏執筆の「成長の臨界」が発行
『J-MONEY』誌「アウトルック」でおなじみ、鋭い経済分析が評判を呼ぶBNPパリバ証券の河野龍太郎氏が2022年7月に発行した経済解説書、『成長の臨界』が早くも話題になっている。河野氏に同書の内容について紹介していただいた。
本書のタイトルを見ると資本主義の行く末を見通す書籍なのかと想像しますが、一体どのような内容でしょうか?
河野 資本主義の未来も本書のテーマの一つですが、それ以外にも様々な話題を扱っています。あえて本書をひとことで説明するならば、日本の金融経済、特に長期停滞論について述べようという書籍です。ただし本書が、同じテーマを論じるほかの書籍と異なるのは、日本の金融経済の現在を理解するために、グローバルな視点、歴史的な視点、政治的な視点を持つよう心掛け、社会保障や格差問題、労働市場なども包括的に論じている点にあります。
例えば、日本の長期停滞について多くの書籍やニュースは、金融・財政政策の不足が主因との結論を導いています。しかし現実には、それだけを解決したとしても問題は解決しないでしょう。
少し脱線しますが、1990年代後半から、世界は急激なグローバリゼーションの加速やIT(情報技術)の躍進を迎え、当時工業先進国だった日本などは生産工程を労働コストの安い諸外国に移すことができるようになりました。当時の世論もこれを歓迎しましたが、実はこの時海外に移転したのは生産性の高い大企業の事業所でした。それらは中小企業の事業所にイノベーションを波及させ、日本の中間層の豊かな暮らしを支える仕事でもあったのです。
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