CFM Asia IT技術者の膨大なデータ分析に基づくオルタナティブ・ベータ戦略
1991年にパリで設立されたCFMは、物理学や科学を駆使した資産運用戦略のパイオニアとして独自の地位を確立している。同社の運用の特徴について、会長のジャン・フィリップ・ブショー氏に話を聞いた。(取材日:2018年6月6日)
CFMはどのような運用会社か。
ブショー 物理学を中心に、博士号を持つ人材が集まっているのが特徴だ。2018年3月末時点で従業員209名のうち、IT技術者は87人を占めており、世界中の膨大なデータを分析して資産運用やリスク管理に役立てている。2018年4月末時点での資産残高は113億米ドルで、「オルタナティブ・ベータ」は53億米ドルを運用している。
オルタナティブ・ベータ戦略とは。
ブショー 「アルファ」であるヘッジファンドと、「ベータ」であるパッシブ運用の中間に位置する戦略として定義している。一般にヘッジファンドはシャープレシオが高い一方で、伝統的資産との相関性は低いが、運用報酬が高めで、資産規模に上限がある。パッシブ運用はその逆だ。ポジションの選定や執行を機械的に行うオルタナティブ・ベータは、シャープレシオはヘッジファンドとパッシブ運用の中間程度で、相関もパッシブ運用より低く、運用報酬はヘッジファンドの1/3~1/4程度の水準に抑えられる。
オルタナティブ・ベータ戦略は「アノマリー」「リスクプレミア」という2本の柱で構成される。アノマリーは先物取引を使ったトレンドフォローや、株式のマーケットニュートラルなどが該当する。リスクプレミアは、オプションを売るショートボラティリティなどの戦略がある。投資対象は、オープンで透明性のあるすべての市場だ。
CFMの強みとは。
ブショー どの産業においても、職人の手作業から科学を駆使した高度な技術へ進化を遂げてきた。資産運用業界もようやくその方向に動き始めている。膨大なデータの処理と、データに基づくポートフォリオの構築を、科学的手法なしで正確に行うのは難しい。私たちは四半世紀以上前からこのような時代を予見し、科学的な運用手法を模索し続けてきた。その経験こそがCFMの強みだ。