貸出の伸び悩みによる収益低下を解決すべく、銀行が国債以外の外国債券や投資信託(ファンド)などへの投資額を増やしている。だが、金融当局の監視が強まるなかで、ファンドに組み入れられたリスクアセットの管理が大きな課題となっている。銀行に求められる運用改革のポイントを整理したい。(田鍋隼)
資産の約4割を有価証券投資に振り向ける銀行も
2013年の量的・質的金融緩和や2016年のマイナス金利政策導入によって金利が低下を続け、国債の利回りも下がったことで機関投資家による国債以外の資産クラスへの投資が拡大した。野村総合研究所金融ITイノベーション事業本部事業企画室 上級研究員の川橋仁美氏は、「ここ数年で金融法人、とくに銀行による国債以外の有価証券投資が目立ってきている」と注目する。
多くの銀行が「ポスト国債」となる投資先を決めかねていることもあって有価証券の投資残高自体は減っているものの、2013年以降は外国債券や投資信託(ファンド)、ヘッジファンドといった「その他の証券」への投資が拡大している(図表1)。背景には、長引く低金利の影響で大きな収益源だった貸出が伸びないことに端を発する、銀行の収益力の低下がある。川橋氏は、「銀行の収益確保に有価証券投資の収益は無視できなくなっている。貸出が伸びない地域金融機関は顕著で、銀行によっては資産の約3割を国債も含めた有価証券投資に振り向けている」と明かす。
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