現代の米国金融市場は専門的参加者のエコシステム
今日の米国金融市場は高い関心を集めたかつてない状況にあります。現代の市場は、機関投資家や個人投資家、その他ではヘッジファンドや銀行、マーケットメーカー、裁定取引者、ファミリーオフィス、年金基金、海外投資家といった、専門的な市場参加者のエコシステムへと発展しています。市場参加者はそれぞれ異なった働きをしますが、全員が効率的で流動性の高い市場を維持する為に重要な役割を果たしています。
株式市場は資金調達を必要とする人々と投資機会を探す人々を繋げます。このエコシステムの中で取引が中心的な役割を担っており、発行体や投資家、流動性プロバイダー向けの“シングル・マーケット(単一市場)”を創出しています。また、公募された価格による取引は最良な買い手と売り手の競争を生み出します。この競争は取引費用を削減するだけでなく、投資家がポートフォリオや資産評価の為に活用する相場を構成する、よりタイトなスプレッド を作り出します。
米国の株式市場は16の独立した取引所で構成
米国の株式市場は49兆ドル 規模をもつ世界最大の資本市場です。米国の取引状況はナスダックを含め、16の独立した取引所で構成されています。16市場の全てが“オーダーフロー”のために競争しますが、それらのうち5つの市場は“リスティング・エクスチェンジ”であるという追加的な特徴を持っています。
米国に上場する全ての株式取引は、全出来高の約57%が16の取引所の中のどれかで行われています。しかしながら、資本市場参加者のエコシステムの中で、取引所だけが取引の場ではありません。ブローカーも通常は利益のために、代替取引システム(ATS、例:ダークプール)を使用する、または顧客の売買を促進する取引所外の取引を使います。これらの場外取引は、取引所による取引と同様な規則や報告基準で行われます。投資家は取引する場所に関係なく、保護されます。また、全ての場外取引(希望価格と売値は除く)が市場参加者全員の利益のために報告されなければなりません。
1994年に、米国証券取引委員会は非上場取引特権を導入するために、取引法を非上場取引特権法の下で改正を行いました。非上場取引特権は、発行体が取引の際に上場する取引所に関係なくオーダーフローのために競うことを許可しました。これは上場する市場とは関係なしにあらゆる取引所で様々な証券を取引できることを意味しています。
正確性や流動性、証券に関する情報とデータ製品へのアクセスが必要不可欠
ナスダックは米国の全株式取引を網羅する最多の取引データを保有します。例えば、ニューヨーク証券取引所(以下、NYSE)上場株の取引のうちNYSEが36.2%の取引データを保有するのに対し、ナスダックは44.8%を保有しています。同様に、ナスダック上場株の取引のうちNYSEが20.3%の取引データを保有するのに対し、ナスダックは61.0%を保有しています(*2021年3月の取引出来高)。2020年にナスダックは運用会社に対して83%の占有率に相当する、316の新規公開株と全資本調達額の52%の取引を行いました。
ナスダックもしくはNYSEでの株式取引かということは、投資家にとって必ずしも判断を下す要因にはなりません。しかしながら、場外取引をトレード・レポーティング・ファシリティーズ(以下、TRF)に報告することは、今日の市場データ品質を向上させる要因となります。リテールのオーダーフローの増加は場外取引を増加させており、これによって取引はTRFへの報告が行われています。場外取引で行われた取引のおおよそ43%は3つのトレード・レポーティング・ファシリティーズ(TRFs)を通して報告されます。ナスダックはそれら3つのうち2つ、米国の金融取引業の自主規制機関(FINRA)と連帯したFINRA/Nasdaq TRF Carteret と FINRA/Nasdaq TRF Chicago を運営しています。これらの2つの機関は場外取引の大部分の報告を行っています。これはナスダック独自のデータ商品が、他の取引データに比べてより高品質なTRFデータに基づいたものであることを示しています。
米国の株式市場は活気的かつ競争的な市場です。市場は上場やオーダーフローで競い、加えて国際的な取引コミュニティのツールやアルゴリズム、ディスプレイで賑わせます。投資家は十分な情報に基づく投資判断の為に、最良な情報を求め、幅広く多様な層へと拡大しています。
あらゆる競争の中には勝者と敗者がいます。競争に勝つために、投資家は正確性や流動性、証券に関する情報にコストを抑えたデータパートナーのデータ製品へのアクセスが必要不可欠です。素晴らしいサービスと投資家への教育がこれまで以上に重要になっています。詳しくはこちらをご覧ください。