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東証の市場再編への対応 第1回 パッシブ運用への影響は軽微。長期的には日本株の比率を高める好機
東京証券取引所が2022年4月、市場第一部など従来の4市場から「プライム」「スタンダード」「グロース」の3市場へ再編される。上場企業の持続的な成長を促し、市場の魅力を高める改革は、企業だけでなく投資家も注目すべきイベントになる。連載「東証の市場再編への対応」第1回では、ピクテ投信投資顧問でストラテジストを務める糸島孝俊氏に、市場再編の全体像と、そこから見えてくる日本株の投資機会について聞いた。
厳しい上場基準で東証ブランドを守れるのか?
日本取引所グループ(JPX)が2016年3月に経営課題として位置付け、2018年10月29日に懇親会を設置して進めてきた議論は、東京証券取引所(以下、東証)の市場区分の見直として実現化する。長きにわたり「東証一部」として親しまれてきた「市場第一部」など現行の4市場体制から、2022年4月4日に「プライム」「スタンダード」「グロース」の3市場体制に移行する予定だ。
年金基金など機関投資家の間でも、東証再編が自らの投資・資産運用にどのように影響するのか関心が高まっている。だが、ピクテ投信投資顧問でストラテジストを務める糸島孝俊氏は、そもそも再編の全体感が整理されていないと指摘する。
糸島氏によれば、まず市場再編の大枠は、各市場のコンセプトの重複を整理するためにある。現在の区分では、実績のある企業向けと新興企業向けで、コンセプトを共有する市場が2つずつ存在していた。これを整理統合するのが、新市場区分になるわけだ(図表)。
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