アメリプライズ・ファイナンシャルの資産運用部門であるコロンビア・スレッドニードル・インベストメンツ(CTI)は2021年10月、日本オフィスを開設した。同オフィスを統括する小嶋義久氏に、C T Iの運用サービスの特徴や日本でのサービスなどについて聞いた。

全ての運用判断でESGの観点も重視

小嶋 義久氏
コロンビア・スレッドニードル・インベストメンツ
日本法人 代表取締役社長
小嶋 義久氏

CTIの運用サービスについて。

小嶋 約87兆円を運用する世界有数の金融グループの資産運用部門である当社は、グローバルで法人、個人投資家、機関投資家に運用サービスを提供している。在籍する650名以上の運用プロフェッショナルのうち200名以上がリサーチアナリストで、入念な調査・分析を運用判断の根底に据える「リサーチフォーカス」の姿勢がサービスの特徴だ。特にESG(環境・社会・企業統治)など責任投資の観点はリサーチに不可欠な要素と位置付けている。

顧客の多様なニーズに応えるため、伝統的資産からオルタナティブ資産まで、幅広いアクティブ運用戦略のラインアップを揃えているが、そうしたプロダクトすべてにリサーチフォーカスが徹底されている。リサーチ力で裏付けた信頼できるアルファ獲得機会を顧客に提供することが会社の使命だ。

足元で注力しているプロダクトは。

小嶋 現在、グローバルで機関投資家から強い引き合いがあるのがプライベート資産と責任投資関連のプロダクトだ。両方とも当社の強みが発揮できる分野であり、注力している。加えて2021年には、両分野に強みを持つバンクオブモントリオール傘下の運用会社BMO GAM(以下、BMO)の欧州運用事業を買収し、プロダクトを一層強化した。現在、欧米の機関投資家を中心に、プライベートエクイティ(PE)とインパクト投資を掛け合わせた戦略への需要が高まってきており、BMOもPEにおけるインパクト投資戦略を提供している。

なおCTIとBMOは、ともに2006年に国際連合が定めたPRI(責任投資原則)に最初に署名を行った発足メンバーだ。

豊富な選択肢を長期視点で、変化の速い日本市場に対応

2021年10月に日本オフィスを開設した。

小嶋 これまでシンガポールから多くの日本の機関投資家や販売パートナーにサービス提供してきたが、このたび日本で長期的にコミットメントができる体制が整ったことで、東京にオフィスを開設した。サービスの密度を上げると同時に、機関投資家の皆様にPE×インパクト投資のような日本で知られていない魅力的なプロダクトを幅広く紹介していく。

例えばオルタナティブ運用で、日本でも不動産・インフラ投資が普及してきたが、多くのファンドはグローバル分散型だ。足元で日本の投資家から分散効果を高めるためにセクター特化型戦略の問い合わせが増えている。CTIではデータを駆使して投資物件を発掘する米国不動産運用プラットフォームを有しており、関心を持ってもらえると考えている。

責任投資についても、欧州投資家の先進的なニーズを汲むべく、SFDR(サスティナブルファイナンス開示規則)の第8、9条に則ったファンドや、様々なカーボンニュートラル戦略などのプロダクトを揃えてきた。これからESG投資を本格化させる日本の投資家にも魅力的なラインアップを提案できるはずだ。

もちろん、こうしたESG投資・インパクト投資には「ESGウォッシュ」の心配が付き物だ。当社のリサーチ力を土台に、「どういう仕組みでESGに貢献するのか」などを掘り下げた説明とともに提供していきたい。

J-MONEY読者へメッセージを。

小嶋 日本市場は顧客のニーズや必要とされるソリューションが刻々と変化するのが特徴だ。だからこそ、豊富なプロダクトを基に様々なソリューションを提案できる当社が、日本の機関投資家の運用に貢献できる部分は大きいと考えている。足元ではグロース株からバリュー株への相場のトレンド転換など市場の潮目を迎えている。今後の運用戦略を思いあぐねている投資家も多いだろう。豊富な選択肢と長期のコミットメントで、難局を乗り越えるサポートをさせていただきたい。