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為替 長期金利低迷のしわ寄せはドル安。過去最長の6年連続の対円陰線へ
FRBの緩和的姿勢は揺るがず
2020年はドル安が進んだ。主な対象通貨はスウェーデンクローナを筆頭にスイスフラン、ユーロのほか人民元、台湾ドル。共通項は経常黒字国通貨であることだ。裏を返せば、米国の経常赤字がドル安を招いた可能性が高い。もちろん経常赤字は、言わば米国の代名詞でもある。それが今さらドル安を招いたのは、世界的に金利が低下した新型コロナウイルス感染拡大後、経常収支が相場決定要因としての重みを増したためだろう。
その米国の経常赤字は2020年、大幅に拡大した。輸出の急減による貿易収支の悪化に加え、サービス収支や第1次所得収支の黒字縮小が響いた。経常赤字の埋め合わせをもっぱら対内証券投資に依存する米国にとって金利水準は重要だ。最上位の格付けとは言え、米国の経常赤字が大きいほど、リスクに見合う対価として本来なら高い利回りが求められて当然だ。経常赤字の規模と長期金利との間に一定の逆相関が観察されるのはそのためだろう(図表)。こうして見ると、足元で際立つ長期金利低迷のしわ寄せはドル安に向かうと考えられる。魅力ある金利水準に代わって、ドル安進行とその反発期待により、対米証券投資を誘引する必要性が高まるためだ。
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