経済指標を読み解く 基調判断の上方修正が期待される11月分景気動向指数
10月分先行CI・一致CI とも前月差5カ月連続上昇
2020年10月分の景気動向指数・速報値では、先行CI(コンポジット・インデックス)が前月差プラス0.5と5カ月連続の上昇になった。速報値からデータが利用可能な9系列では、鉱工業生産財在庫率指数、消費者態度指数、日経商品指数、中小企業売上げ見通しDI(ディフュージョン・インデックス)の4系列が前月差プラス寄与度に、最終需要財在庫率指数、新規求人数、新設住宅着工床面積、マネーストック、東証株価指数の5系列が前月差マイナス寄与度になった。
12月23日発表予定の10月分景気動向指数・改訂値では、先行CIに新たに実質機械受注(製造業)が加わるが上方修正要因になろう。また逆サイクルの最終需要財在庫率指数と鉱工業生産財在庫率指数はどちらも確報値段階で下方修正されたので、2つの在庫率関連データは、先行CIの僅かな上方修正要因になろう。
10月分速報値で、一致CIは前月差プラス4.9と5カ月連続の上昇になった。速報値からデータが利用可能な8系列では、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業、有効求人倍率、輸出数量指数の全系列が前月差プラス寄与度になった。
10月分改訂値で、一致CIには所定外労働時間指数が新たに加わる。10月分速報値では上方修正要因になるが、確報値の発表日は12月22日で、23日発表の景気動向指数・改訂値では確報値が使われる。生産指数関連と商業動態統計関連データで速報値から確報値が上方修正されたのは、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、逆に下方修正されたのは、耐久消費財出荷指数と商業販売額指数・卸売業である。
10月速報値段階では、一致CIの3カ月後方移動平均は前月差プラス2.90ポイント上昇し、4カ月連続の上昇になった。7カ月後方移動平均は前月差プラス0.06ポイント上昇し、24カ月ぶりの上昇になった。
11月分(速報値)一致CI前月比は+0.1以上なら判断上方修正だが、微妙
「下げ止まり」から、事後的に判定される景気の谷が、それ以前の数カ月にあった可能性が高いことを示す「上方への局面変化」に上方修正されるには、一致CI前月差が上昇、かつ一致CIの7カ月後方移動平均(前月差)の符号がプラスに変化し、プラス幅(1カ月、2カ月または3カ月の累積)が1標準偏差分以上振幅目安のプラス0.76以上になることが必要だ。最近の、景気の基調判断は8月分で13カ月ぶりに「下げ止まり」に上方修正された。9月分、10月分では「下げ止まり」で据え置きになった。10月分の前月差は上昇したが、7カ月後方移動平均の前月差が小幅の上昇にとどまったからだ。
2021年1月8日発表の11月分速報値では、一致CIの7カ月後方移動平均(前月差)の符号が2カ月連続プラスで、プラス幅(1カ月または2カ月の累積)が1標準偏差分以上振幅目安のプラス0.76以上になることはまず確実だ。問題は一致CIの前月差がプラス0.1上昇するかだ。
2020年12月28日に発表される、11月分の生産関連指標では製造工業予測指数からみて、生産指数は前月差上昇が見込まれる。一方、耐久消費財出荷指数は乗用車販売台数から見て前月差下落が予想される。前年同月比でみる商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業は12月25日に発表されるが、10月分は昨年の消費税率引き上げの反動で高めの数字だったので、この2系列は反動減で低下になろう。
11月分速報値で一致CIの前月差が上昇するか下降になるか、要注目だ。