TOPインタビュー プロネクサス 代表取締役社長 上野 剛史氏 国内上場企業の6割と取引。システム開発やWEB・英文開示などに注力
製造コストを4.8ポイント削減、営業利益率はほぼ目標を達成
2011年4月から2014年3月までの中期経営計画のなかで3つの基本戦略を掲げていますが、進捗状況はいかがでしょうか?
上野1つ目の基本戦略は「3つの成長ドライバーの重点強化」です。成長ドライバーの1つ「システム」では、2014年1月に本格稼働する次世代EDINETへの対応を最重点課題とし、「プロネクサス・ワークス」のバージョンアップを進めています。
もう1つの成長ドライバーである「WEB」については、決算短信や有価証券報告書などを提出後、IRサイトを自動更新するといった機能を持つIRサイト自動更新・構築支援システム「E-IR」を展開。採用社数は上場企業の6分の1に相当する約600社まで拡大しています。
3つ目の成長ドライバーは「データベース」です。当社は2012年12月、日立ハイテクノロジーズの企業情報データベース「NEXT有報革命」事業を買収しました。これによって当社の企業情報データベース「eol」の文章検索機能やアジア地域の上場企業約1万2000社を網羅しているといった強みに、「NEXT有報革命」の高度な分析機能などが加わったことで検索・分析機能やコンテンツ収録範囲が拡大しました。
2つ目の基本戦略は「徹底した製造コスト削減で収益力強化」です。生産プロセスの見直しや生産性・内製率の向上、材料費の圧縮などで原価率は2011年3月期から2013年3月期までに4.8ポイント下がりました。3つ目の基本戦略である「人財・組織・マネジメント力の強化」も順調に進んでおり、社員1人当たりの生産性も向上しています。
売上高や営業利益は数値目標に届いていませんが、2つ目の基本戦略である製造コストの削減が功を奏し、売上原価率や営業利益率はほぼ達成できる見通しです。
今後はどのような事業戦略を描いていますか?
上野これまで当社は、EDINETの導入や進化に伴って「エディッツ・サービス」や「プロネクサス・ワークス」を開発、提供してきました。その度に2001年3月期の33.2%から2008年3月期の53.7%と、マーケットシェアを伸ばしてきました。2014年1月に本格化する次世代EDINETでも顧客ニーズにあったシステムの開発、提供でマーケットにおける存在感をより高めていきたいと考えています。
株式市場の回復やNISAの始動で投資信託やJ-REIT市場が活性化しています。当社は現在、投資信託やJ-REITの国内系運用会社の8割以上と取引がありますが、投資信託運用会社向け業務支援システム「FDS」やREIT運用会社向けファンドマネジメントシステム「FMS」を通じてさらにシェアを伸ばしていきたいと考えています。
また、外国人投資家や個人投資家の台頭により、開示書類の英文化やWEBサイト制作といったニーズが高まっています。当社では2013年4月に財務情報翻訳の専門会社である日本財務翻訳を100%子会社化し、WEB制作会社のミツエーリンクスと業務提携するなど英文化やWEB対応力の強化にも注力しています。
ディスクロージャーやIRの効果は企業業績やマーケット環境に連動します。アベノミクス効果で株式市場が活況にあるなか、企業のディスクロージャーやIR活動のサポートで株主や投資家との架け橋となることで、企業価値向上に貢献できればと思っております。