豊富な研究資金を確保する海外大学との競争や少子化にともなう財源確保のため、大学にとって資金運用は中長期の財政基盤を支える重要なテーマとなっている。大学基金の運用担当者や有識者の声を通じ、大学の資金運用戦略と今後の展望について概観する連載「大学基金の運用戦略」。東北大学は、2024年11月に国際卓越研究大学の第1号に認定された。最終的に1.2兆円規模の運用残高を目指し、期待リターン5%超、オルタナティブ資産比率60%の基本ポートフォリオへの移行を段階的に進めている。東北大学 財務部資金運用室長の鈴木裕介氏に話を聞いた。
期待リターンを3%から5%超へ段階的に引き上げ
大学経営のなかで、資金運用はどのような位置づけにあるか。

財務部 資金運用室
室長
鈴木 裕介氏
2004年の国立大学法人化以降、大学には自立的で安定した財務基盤の構築が求められてきた。国からの運営費交付金だけに依存せず、教育・研究活動を長期的に支えられる財源を確保するため、資金運用の高度化を進めている。とりわけ本学は、2024年に国際卓越研究大学に認定され、大学ファンドから最長25年間にわたって助成を受けられることになった。
そのため、教育研究費などは経常収入や大学ファンドからの助成金で賄い、運用収益はペイアウトせず、複利で再投資する方針だ。本学の試算では、25年目までに運用資産を約4,600億円まで積み上げ、26年目以降に大学ファンドから払い戻される助成金を合わせ、将来的には1兆円を超える基金造成を想定している(図表1)。大学ファンドの助成期間が終了した後も、独自基金の運用収益によって研究・教育を支えられる財務基盤をつくることが目的だ。
■本学の資金運用の財源は、国際卓越研究大学の認定により、今後25年間にわたり安定的なキャッシュインフローが継続し、かつキャッシュアウトを想定する必要がない特性を有する。
■このようなキャッシュインのみの「超長期資金運用」においては、リスク分散と持続的リターンを重視した基本ポートフォリオの設計が不可欠である。

※「業務上の余裕金」を積み立て、複利で運用することで、25年目には約4,600億円に達する見通し。国際卓越研究大学の制度設計では、大学が積み立てた金額の約2倍に相当する助成資金がJSTで運用され、25年目の累計額は約7,600億円になると試算している。26年目以降、この資金がJSTから東北大学へ順次払い戻され、大学が「業務上の余裕金」として運用してきた約4,600億円と合わせて、運用資産は約1.2兆円に達する想定
現在の運用に至るまで、どのような段階を経てポートフォリオを高度化してきたか。
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