大国米国の動向が、世界経済や金融市場に影響を与えることは今さら言うまでもない。2026年の世界経済や金融市場がどうなるのかを検討する時期に来ているが、そもそも日本特有の問題点は構造的な問題である。地政学リスクや中国の景況感などもあると言えばあるものの、とりわけ金融市場の動向を考える時には、米国のリスクを見ておくことが重要になる基本形は2026年も変わらない。

2026年10月に中間選挙を控える米トランプ政権は、おそらくは米国株価を上昇させる手立てを取ってくるはずだ。かつ、K字型経済の進行により「富裕層がけん引する米国景気はソフトランディングが可能である」と見ているため、米政権の基本的な見方は「景気は安定して推移する」というものだろう。

しかし、クレジットの観点では注視しておくべきことも既に起きて来ている。今回は、2026年の米国に潜む5つのテールリスクについて整理することにしたい。

【①米国のリセッション】

米国の物価が上昇する可能性は大きい。自動車を除く財の価格を見ると、大きく上がっている(図表1)。サービス価格についてはまちまちだが、例えば航空運賃やホテルなどの価格は大きく上がっており、関税政策を考慮するまでもなく物価が上がっていく公算は大きい。にもかかわらず、中小企業は価格転嫁を意図していないように見える(図表2)。それは、米国で物価が上がるか、そうでないなら、中小企業を中心に企業業績が落ちるか、場合によってはデフォルトが起こる可能性を示唆しうる。これは米国のリセッションの始まりとなる可能性となるのではないか。

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