2024年のベストディールを表彰する「ディール・オブ・ザ・イヤー」。金額規模や執行業務の鮮やかさ、資本市場に与えた影響といった点を基準に、全9カテゴリーからベストディールを選定した。
※データはディールロジック提供 ※対象となる案件はすべて公表ベース ※各案件名、社名および概要をまとめた囲み内の社名の並びは、ディールロジックのデータと各種データを基に編集部作成(一部順不同を含む) ※記載金額は端数を切り捨て
M&A部門
ベストM&Aディール(OUT-IN)
ボッシュによるジョンソンコントロールズ日立空調の買収
自動車部品大手のボッシュは2024年7月23日、米ジョンソン・コントロールズ・インターナショナルと日立製作所が合同経営する住宅および小規模商業施設向けの空調事業を手がけるジョンソンコントロールズ日立空調を買収すると発表した。取引総額は約80億ドル。
日立はボッシュと連携し、グリーンビルディングなどの成長分野での事業展開を推し進めていく。本取引はボッシュ史上最大、2024年のOUT-INカテゴリーの全ディールでも年間2番目の規模。同社はアジア空調市場参入で事業拡大を目指す。
ベストM&Aディール(IN-OUT)
日本生命によるレゾリューションライフの完全子会社化
日本生命保険は2024年12月に米系生保レゾリューションライフの株式の追加取得により完全子会社化することを発表した。日本生命としては生命保険大手コアブリッジに続く同年2件目の大型買収。同年中に行われた日本企業による対外M&Aで最大の規模となった。今次追加取得の投資規模は約82億ドルに上る。
また本取引と同日付でナショナルオーストラリア銀行が保有する日本生命の連結子会社、MLCリミテッドの発行済み株式20%を取得し、100%子会社化した上で、レゾリューションライフ傘下の豪州持株会社とMLCリミテッドの経営統合を発表した。
日本生命は本買収および経営統合により、米国保険市場へ参入し、同社が中期経営計画(2024~2026年)の中で戦略軸の一つとして掲げている海外事業収益の長期安定的な拡大、顧客利益の最大化を目指していく。
ベストM&Aディール(IN-IN)
KDDIのローソンに対する株式公開買い付け
KDDIは2024年2月6日、ローソンに対してTOB(株式公開買い付け)を実施し、スクイーズアウト手続きを通じてKDDIはローソンの50%持分を取得、三菱商事はローソンの50%持分を継続保有すると発表した。非公開化を行うことで共同経営体制を構築する。本取引は、2024年の国内最大規模のTOBであり、国内小売業界における再編・買収案件としても2020年7月以降最大規模となる。
三菱商事は、資源価格の変動に左右される事業モデルからの脱却を目指し、以前からローソンを安定した収益を生み出す重要な事業の柱と位置付けてきた。食品や日用品を安定的に供給する社会インフラとしてのローソンの役割が拡大する中、新型コロナウイルス感染拡大を契機に、消費者の生活スタイルや購買行動が多様化。その変化に迅速に対応するため、通信分野に強みを持つKDDIとの連携を決定した。
KDDIと三菱商事は今回の提携を通じて、店舗網の拡大、通信・金融・ヘルスケアサービスの強化、ポイント経済圏の拡大、環境負荷低減施策の推進などを進める。新たな顧客体験の創出やサービスの多様化を通じて、利便性の向上とともに、持続可能な社会の実現に貢献していく方針だ。
株式部門
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